2020年、そしてその先へ アンカーは止まらない

雌伏して時の至るを待つ。
ブリヂストンアンカーの「その時」がいよいよやってくる。
スポットライトに照らされた表舞台から、
いっとき距離を置いたブリヂストンアンカーは、
その裏で着実に、レーシングスピリットと開発技術を磨き上げていた。
PROFORMATの進化を裏付ける、
完全自社生産のカーボンバイクを供給する
「カーボンラボ」の設立、
そしてそれに走りで応じるトップクラスのアスリート。
目指すは、東京2020オリンピック。
だがブリヂストンアンカーの射程はさらなる先まで及んでいる。

全日本6冠 窪木一茂

全日本6冠、
窪木一茂の見据える
「東京」

2018年の国内選手権大会。チーム ブリヂストンサイクリングから参加した選手たちはみな日本一のタイトルを獲得する強さを見せた。日本記録を含む好走で、計6種目を制し他を圧倒した窪木一茂は、東京2020オリンピックの中距離種目を見据えている。自らの心技体が向上している証拠、と2018年の結果を客観的に捉える窪木は、この延長線上に連戦を戦い抜けるタフな身体があると語る。そして2020年には「余裕をもって間に合う」と仕上がりを確認している。2018年後半にナショナルチーム入りしたことで、窪木はより科学的なトレーニングを実践し始めた。「2019年は『情熱と科学の融合をペダルに伝える』がメインテーマ。世界の強豪に立ち向かうんだという強い情熱を、最先端の科学的トレーニングにマッチさせること、これを試行錯誤しています」 すでにオリンピックを知る29歳の経験と最先端の科学が融け合うとき、誰も見たことのない地平を、窪木は伊豆のベロドロームで切り開くことになる。

秘密裏の研究施設「カーボンラボ」

秘密裏の研究施設
「カーボンラボ」

ブリヂストンサイクルの工場奥にある、『関係者以外立ち入り禁止』と大きな札がかかったドア。ここは、秘密裏に創設され2015年に本格始動した「カーボンラボ」。その名が示す通り、カーボンフレームとパーツの開発を行う研究施設だ。ラボ内には世界の各バイクメーカーのカーボンフレームがずらりと並ぶが、いずれも縦横に裁断されている。これらはすべてデータ解析のため、解剖されたフレームたちなのだ。だがカーボンバイク製造をワンストップで実現するカーボンラボ生まれの試作品の数は、その比ではない。フレーム、ハンドル、ホイール、クランク……繰り返される試作は、全て最速のカーボンバイクを造るためにある。

カーボン、エアロダイナミクス、運動生理学、構造解析などあらゆる分野のスペシャリスト10名以上がレース機材開発に専心している
入口に掲げられた「Carbon Lab.」と記されたカーボン製プレート。ここで東京2020オリンピックのためのバイクが開発されている
すぐに試作品が生み出されるカーボンラボのスピード感

すぐに試作品が生み出される
カーボンラボの
スピード感

カーボンラボが誇るのは、その開発スピードだ。PROFORMATにより導き出された理想の形状は、まず石膏型に削り出され、次にその型にプリプレグが貼り込まれ、そしてオートクレーブ窯で焼き上げられ試作品が完成する。一般的な金属ではなく、加工が容易な石膏を型の素材に用いることで、試作プロセスにかかる時間を大幅に短縮することに成功した。ライダーのフィードバックや研究データが、即時でカタチになる。このスピードが、数え切れないほどの試作とテストを可能にした。

カーボンパーツの型となる石膏は、カーボンラボ内のマシンで削り出される。
型の製作に要する時間は、一般的な金属型の1/10以下だ
樹脂を含浸したカーボン繊維シートであるプリプレグを石膏型に貼り込む。この後、オートクレーブ窯で熱と圧力を加えられプリプレグが硬化し、馴染みあるカーボン製品となる
カーボンラボで生み出すべきはフレームではなく、トータル

カーボンラボで生み出すべきは
フレームではなく、
トータル

カーボンラボでの開発のスピード感は、株式会社ブリヂストンの基盤技術部門との連携による解析技術PROFORMATの進化に対応している。レーススピードでバンクを走るライダーから、車両各部位の動的な挙動データを計測し、そのデータを基に、バイクのトータルな設計が行われる。実走状態の再現性は精密さに磨きがかかり、トラックフレームのデザインには、バンクの角度まで反映されるほどだ。

ハンドルやクランクをカーボンラボで作るのも、バイクを全体としてデザインしなければ最速の1台は生まれない、という結論によるもの。そのためカーボンホイールやその他のパーツの研究開発も並行して行われている。バイクはフレームだけでは走らない。そのフレームのポテンシャルを活かし切る専用パーツも含めたトータルパッケージでの開発が日々進行中なのだ。

カーボンラボの研究開発はハンドルやクランク、ホイールなど、バイクの走行性能向上に関する領域に及ぶ。トータルで最速の1台を生み出すためだ
2020年の東京オリンピックと、その先まで

2020年の
東京オリンピックと、
その先まで

窪木一茂を始めとするチーム ブリヂストンサイクリングのアスリートも、日夜プロトタイプを生み出す研究者たちも、目指すのは東京2020オリンピックだ。残された時間は少ない。そして劇的な向上など無いことも、両者は心得ている。頂点に近づけば近づくほどその差は小さく、また埋めるものは地道な努力だけなのだ。積み上げるものが練習か、膨大な試作品の残骸かの違いはあれど、100分の1秒でも速く、という思いは変わらない。そしてその結晶たるトラックフレームは今、トラック競技日本代表チームの選手たちが世界の舞台で戦う際に選ぶ機材となっている。世界レベルの戦いの場で得られるフィードバックは、即座にカーボンラボでまた新たな形となり、バイクをさらに進化させる。東京2020オリンピック後は、この技術をロードバイク開発に活かすプランもある。2020年、そしてその先へブリヂストンアンカーは止まらない。