他では見られないほど多くのオフセット量のフォークを揃えているのは何故か? 全てはアンカーが求める快適性を実現するため。一種類では全てのサイズでトレール値を許容範囲に納めることは不可能なのだ。
車輪径とキャスター角、フォークオフセットにより決定されるトレール値。 トレール値は大きすぎても小さすぎてもいけない。進路保持性性能と進路変更性能の二つの特性バランスが取れているのがよいトレール値と言うことが出来る。その値は700Cのバイクで、55〜58が標準値とされる。許容範囲としては50〜64まで。これらの範囲がバランスが取れていると言われる。
大きいフレームサイズだとトレール値は55〜58に納めてある。しかし全てのサイズにおいて適正値を実現することは困難である。そこで可能な限り適正値に近づける許容範囲のための設計を行っている。アンカーウーマンなど小さいモデルでは55〜58という範囲を超える。それはオフセットを多く取りすぎると重心が前に行きすぎ、ハンドルを振るのが重くなってしまうため。そのため男性よりも筋肉量に劣る女性には向かない設計となってしまう。そのバランスをとるために63.4(オフセット量は55)という数値を採用している。
トレール値が変化するとどのような状態になるのか? トレール値が大きい(キャスター角は小[寝る]、オフセット小[短い])場合。自動操縦性が強くなる。ハンドルを傾けたとき切れ込みは大きいが、前輪の自己復元機能(ハンドルをまっすぐに戻す機能)も強いためく進路保持性が強くなる。結果、バイクの自動操縦に逆らう操作をすると重くなる。いわゆる『鈍い』動きになる。バイク任せと表現することもできる。逆にトレール値が小さい(キャスター角は大[立つ]、オフセット大[長い])場合。ふらつき感が現れる。ハンドルを傾けたときの切れ込みは弱く、進路保持性は弱い。フロント周りの操作は軽くなるが、直進を維持するための乗り手の負担が大きくなる。いわゆる『軽すぎる、ふらつく』動きになる。
日本人の多くに適合するフレームサイズは小さめ。トップ長を短くしたいが、大きいサイズをそのまま短くしたのではホイールベースも短くなり、安定性を欠くことになる。ホイールベースを確保しつつトップ長を短くするにはヘッドアングルを寝かせるしかない。しかしそこにも落とし穴がある。大きいフレームサイズに適合するフォークを持ってくると、トレール値が大きくなりすぎてしまい快適性が失われてしまう。そこで小さいフレームサイズ用の適切なオフセット量を持ったフォークが必要になるのだ。もちろんアンカーは快適性を実現するために適切なフォークを用意している。そのため小さなサイズでもしっかりとバランスの取れた走りを実現している。
アンカーが4種類のオフセットを用意した理由が分かっていただけただろうか。4種類用意することは決して容易ではない。それでも手間が掛かる複数のフォークを用意するのは何故か? 全ては快適性を実現するため。開発陣が求める良い設計、それはフレームの大小を問わず快適なハンドリングを実現する設計なのだ。



自転車の操縦性やハンドリング性能の目安として「トレール」という値があります。トレール値は操縦管芯線(操縦軸)を延ばして路面と交わる点と前輪タイヤの接地中心点の距離の値であり、車輪径とキャスター角とオフセットの関係で数値が変わります。
700Cの自転車の場合は一般的には標準値が55〜58ぐらいで、許容範囲としては50〜64までがスポーツバイクとしてバランスが良いと言われています。
トレール値が大きくなりすぎると、進路保持性(直進性)が強くなり過ぎ、スポーツバイクとしての軽快感は失われ、逆にトレール値が小さいと進路保持性が悪くなり、手放し走行などが困難になります。

