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12/02/11

Tour of Qatar 監督総括

2012年、体制を新しくし、初めて挑んだ世界レベルのレース、Tour of Qatar (UCI2.HC)。
準備期間もチームとしての合同練習も非常に短期間で挑み、選手スタッフ共に不安も
大きかった中、選手たちは今持てるすべてを尽くして、世界のトップレーサーに立ち向かった。

第1ステージ:情報も少なく初めてのプロツアーレベルの横風での加速に
現実を突きつけられた。正直、この先全く何も出来ずに終わるのではないかと
言う不安もよぎった。

第2ステージ:まだチームとしての連携も間もない状態でのチームTT、しかし短期間でもある程度良いまとまりを見せ、トップのガーミンから1分11秒遅れ、ジルベール、ウショフトの所属するBMCからは約55秒遅れ。当初の予想よりもタイム差はかなり少なかった。全選手、そこまで絶望的な差はないということを確信し、少しずつ自信を取り戻したチームTT。

Qatar2012train.JPG
先頭のガーミン列車の後ろに隊列を組むブリヂストンアンカー・サイクリングチーム
後ろにはジルベールやウショフト、カヴェンディッシュが控えている。
Photo:Uchida Akiko

第3ステージ:初日の不安は、新加入のアレクサンドル・ルメア(23歳フランス)のスタートアタックにより完全に払拭された。120kmを4名で逃げ、さらにトムボーネン、カンチェラーラ、ジルベール、カヴェンディッシュ、レンショー、フレチャ、ヴァンスーメレンらそうそうたる世界のトップスピードマンのそろう約35名の先頭グループに残り、29位でゴール。
プロツアーチームから見れば格下の我々でもできる可能性を見出し、全選手に高い士気をもたらした。先行し最終局面で合流するレースをすれば、世界のトップレーサーと共にゴールすることが出来る自信をつけた。

チーム総合は一時プロツアーチームであるリクイガス、コンチネンタルプロのファルネーゼヴィニを抜き13位に。アレックスはサガンや昨年のU23世界チャンピオンのアルノー・デマーを上回る、U25総合8位に上昇した。

第4ステージ:前日のアレックスの逃げで士気の上がったメンバーは、レースにより積極的になり、前半の厳しい横風区間を耐え抜き、そのあと清水都貴がロトのLarsと2人逃げを決める。約80kmにわたる逃げは、前日のアレックスに続き、ツールドフランスの主催者であるASOも驚かせる力強い走りだった。清水が吸収された直後のアタックには井上が参加し、常にブリヂストンアンカーがプロツアー選手に混ざりレースを展開し、チームの存在をアピールした。

第5ステージ:ここまでクイックステップがレースを圧倒し、総合、ステージに絡めていないチームの動きが活発となり、ここまでのステージのように簡単に逃げが形成できない厳しい展開となった。プロツアーチームの再三にわたるアタック合戦が繰り広げられる中、その合間を狙って西薗が自らアタック、しばらく独走し、そこにロバート・ワグナー(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)昨年のロードドイツチャンピオン、アレクサンダー・クチンスキー(ベラルーシ、カチューシャ)ベラルーシチャンピオン、マチェイ・ボドナール(ポーランド、リクイガス・キャノンデール)ポーランドTTチャンピオン、トーマス・ベルトリーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア)が追走し合流、この5名の逃げが再三の追撃を振り切り最大4分45秒の差をつけ130kmまで逃げた。3日連続で逃げにメンバーを送り込んだのはブリヂストンアンカーサイクリングチームが参加チーム中唯一。 プロツアーチームの監督たちも明らかにチームを見る目が変わり始めたことを強く感じた。

第6ステージ:最終ステージは最初の1時間の平均時速が56km/h。とんでもないスピードでレースは突き進んだ。そのなかでも今年鹿屋体育大学を卒業し、新加入した吉田隼人が最後までメイングループに残り、カヴェンディッシュ、ボーネン、カンチェラーラ、レンショー、ファラー、アイゼル、マキュアン、クック、フレチャら世界のトップ選手と共にゴールスプリントに参加。
ラスト500mまではレンショー(ラボバンク)の番手につけチャンスを狙うが、吉田のすぐ横でカヴェンディッシュが落車、減速を余儀なくされるが、その後踏みなおしてフレチャ(Sky)の後ろ28位でゴール。本人からも「位置取りさえ経験を積めば、行ける気がする」という心強いコメント。生まれてはじめてのUCI2.HC、しかも世界のトップスプリンターの中で初めてのレースでこの走りは、これから大いに期待できる。
自信を持って、もっと挑戦して欲しいと思う。

全体として、ブリヂストンアンカー・サイクリングチームは当初の予想を大きく上回る走り、内容を実現することが出来たと思っている。しかし、リザルトに残る走りをする、真のプロ選手として結果に通ずるの走りを実現する為には、まだまだ経験も力も不足していることは確か。今回の内容に満足することなく、これからのトレーニング、レースで一つ一つ課題をクリアしながら、次に彼らと対戦する時にはその成長を驚かせるようなチームになっていたいと願っている。

チームのブレイズ・ソノリーは残念ながら第5ステージで落車し負傷リタイヤしたが、1ヶ月程度でレースに復帰できる予定。彼の分も次のツールドオマーンでは頑張りたいと思う。
明日からオマーンへ移動し、14日から19日まで今度は世界のトップクライマー、シュレック兄弟、ロドリゲスらと対戦する。