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12/12/11

BAオフィシャルカメラ・レポ Vol.28 富士の麓は-3℃。レースがしたい選手たちは、どんな環境でも激しく美しく、戦う遺伝子をさらけ出す。シクロクロスは路面も天候も、何だってOKで見応え十分。それは競馬の“スティープルチェイス(障害競走)”のようだ。地球最強最速のサイクリストを決めるレースは、もしかしたらこれなの?と、オフィシャルカメラは鼻をススリつつ思うのであった。会場にこだまする、「トキーットキーッ!!」の正体のひとつはそう、ブレイヴなトキ君に興奮する、大人気ないオフィシャルカメラの雄叫びだった。

■12月8日レース前日、試走。
試走は午後2時から行われた。今回のレースにブリヂストンアンカー サイクリングチーム(以降BA)から出場する選手は、MTBで目を見張る成長を披露するトキ君だけだ。昨年の同選手権でも、ジュニア・カテゴリーで優勝を果たし、1994年生まれの彼は、いよいよ今シーズンからはエリート・カテゴリーでの出場となった。
「コースはハイスピードで面白いです。(どちらかと言うと)単調なのですが、高速で繋げようと思うと、先の先を見ていく必要があるので難度が上がる感じですね。カラダの調子は良い、良いと思うんですけど」と、およそ70分間の試走を終えたトキ君は語った。

確かに、今回のコース設定は“(競馬の)スティープルチェイス”というより、ややフラットにした陸上競技のクロスカントリーに近いのかもしれない。飛び降りてバイクを担いだり、振り回したりするようなセクションは、シケイン1ヶ所だけだった。(2.9㎞/lap)

試走を終えた頃、強い北風が灰色の雪雲を運んできて、目前の富士山を隠すほどの雪を降らせていた。トキ君もスタッフも、そしてオフィシャルカメラも「積もらないといいな」と、言いつつ会場を後にした。


■12月9日、レース当日。
“晴れ”の天気予報とは裏腹に、やや雲が出はじめた会場に時折当たる太陽の光がありがたい。朝は-3℃、エリート・カテゴリーがスタートする午後1時になってもそれほど気温は上がらなかった。何分かに一度来る強い北風が、どこからか小さな雪の粒を運んでくる。
午前11時15分、トキ君が会場入りした。シクロクロスは沢田ファミリーがトキ君をフルサポート。トキ君も安心してレースに集中できているようだ。
会場に到着したトキ君は、スタッフらにいつもの“トキ・スマイル”と握手で挨拶を交わすと、既に他カテゴリーのレースが行われている今日のコースを改めて、ゆっくりと下見した。
その後トキ君は集中を徐々に高めつつ、アップを開始。ローラー、マッサージ、バイクの確認と試走、いつものルーティンでスタートまでの時間を過ごした。
「攻め続けなければいけないと考えています。それだけです」レースのイメージを聞くとトキ君は勇敢なチャレンジャーらしくそう答えた。

レースは、序盤から中盤にかけて4選手が先行し、ペースに緩急をつけて揺さ振りをかけ合う激しい消耗戦となった。トキ君は積極的に喰らい付き、“攻め”続けたが最終周回を迎える頃、徐々にペースを落とし、総合5位(U23では第1位)でのフィニッシュとなった。
「とにかく攻めました。攻めていないとダメだと思った。(レースの結果は)本当に悔しいですね」ゴール直後、トキ君が語った。
また、鈴木雷太アドバイザーはレース後に、
「本人が言っていた通り、思い切り走りましたね。ただ、今回はそれが少し裏目に出てしまったようです。最後まで後手を踏む展開を自分のペースに戻せませんでした。本人もとても悔しい結果だったでしょう。ですが積極的に戦った今日のレースは、今後海外での活動を含めて、次に繋がる意味のあるレースだったと思います」と話した。

このレースは、面白い。オフィシャルカメラは、次のシクロX取材を早く企画しなければと思うのだった。


シクロクロスバイクの特徴のひとつ、泥などの目詰まりを起こさせないためのフレーム構造とカンチブレーキ(写真左)。路面によりセレクトするタイヤ、スリック系(右上)、オールラウンド系(右下)この他にマッド系も準備されていた。
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到着早々、コースを下見するトキ君
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下見を終え昨日のフィーリングを確認する。この直後スリック系からオールラウンド系にタイヤを変更
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タイヤ交換をするメカニックの金田氏とBAスタッフ
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トキ、出る!
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START!!
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1周目、最終コーナー入り口
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高さ40cmほどに設定された板、“シケイン”を跳ぶ。
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先頭グループ4選手の激しい消耗戦
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積極的に攻めるトキ
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最終周回
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ゴール直後、トキ完全燃焼。
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本年度のオフィシャルカメラ・レポはこれで最後となりそうです。この場をお借りして、レポをご覧いただいた皆様、ブリヂストンサイクルの皆様、執拗な取材・撮影を快く受け止めていただいた選手とスタッフの皆様、各大会関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
2013年、さらに最高の年をお迎えください。
ありがとうございました。

オオマエミノル