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16/01/27

2016アジア選手権トラック競技チームパーシュート/日本新記録を達成するも。


先日に2020年東京五輪トラック競技の招致が決定した静岡県伊豆修善寺のベロドローム。ここで2016年1月26日から30日まで、2016年アジア選手権のトラック競技が行われています。


トラックの日本ナショナルチームには、ブリヂストン アンカー サイクリングチームから一丸尚伍が選ばれています。27日に行われるチーム パーシュート競技に出場します。チーム パーシュートとは、団体追い抜きとも言われる競技。全4kmの距離を4名のチーム走り、そのタイムで競います。

さて、自転車で最も大きな抵抗は空気抵抗です。4名で走るチーム パーシュートでは、走行中の空気抵抗を最も受ける先頭の選手が一番体力を消耗します。

そのため、ほぼ4分前後のレース時間中、選手たちは先頭を順番に交代しながらレースを進めていきます。

そしてタイムは4名のうち、3番目にゴールをくぐった選手のタイムで決まります。そのため、3名選手が最速であるために、最初に先頭を引く選手(一走と呼ばれます)はチーム全体のスピードをあげる推進力としての役目を担うのが通常のセオリー。他の3人よりも長い時間先頭で走り続けます。チームワークが勝利の鍵となる競技です。

前日の予選では、日本チームは中国、韓国に次ぐ3位の成績。中距離競技のヘッドコーチである、写真左の飯島誠(彼も元アンカーチームレーサーです)は、この成績についてこうコメントします。

「日本での開催というプレッシャーの中、予選は3位でしたが、いいタイムを出してくれたと思います。通常、第一回戦ではいいタイムが出ることが多いので、一昨年に出した日本記録、4分6秒台、というのを更新したいですね。

もちろん勝ち上がるのが大事なので、勝たなきゃ意味がないですが、まずはベストな記録を出すというのが大事だと思います」

その記録への期待の中、第一回戦が行われました。一丸はまず先頭に出て、一走としてスピードを上げていきます。その相手は予選2位だった韓国。互いのチームはバンクの反対同士からスタートするのですが、日本チームはジワリ、ジワリと、韓国との差を広げていきます。ゴール時には目で見てもわかるぐらい差をつけての勝利です。



そのタイムは、これまでの日本記録を3秒近く縮める4分3秒819の日本新記録。飯島ヘッドコーチの言葉通り、勝ち上がるのはもちろんですが、ベストなタイムを叩き出します。



この新記録樹立に沸く日本チーム。一走として気を吐いた一丸、彼の働きがこのタイムを呼び込んだ一因となったことは間違いありません。しかし大切なのは、この次の決勝での勝利。まだ気を抜くわけにはいきません。


一丸のお母さん(赤いセーターの方)も会場に足を運び、声援しています。2016年アンカーカタログ内に記載される一丸の記事をお読みいただけると、「一丸はレース系競技が得意ではない」といった内容が記載されています。実はそれには深い理由がある、ということを、一丸のお母さんが、詳しく語ってくれました。その内容については、また別の機会にご紹介できることでしょう。


さて、決勝です。一丸は前回と同じく一走を担います。日本記録を打ち立てたという気概が、決勝でも見られるでしょうか。全16周のレースがスタートします。

前半は日本チームが僅差でリード。このままリードを広げていきたいところです。そして8周目ほど、チームを引ききった一丸が離脱。残りの展開を3名の仲間である窪木一茂選手、近谷涼選手、原田裕成選手に任せます。


ここまでを、一丸はこう振り返ります。

「中国は、一回戦を流していたようにも見えたので、まだタイムを縮めてくると思い、スタート直後から攻めました。でも、ちょっと経験したことのないスピードで前半から飛ばしたので、前半の早いうちにチギれてしまって….」

そして後半の中国が強かった。日本チームは決して悪い走りには見えないのですが、僅差で勝っていたタイム差を後半に入った途端、中国に逆転されてしまいます。

日本チームは、タレてはいません。しかしタイム差は広がる一方。そしてそれはそのまま縮まらず、中国は、日本が第一回戦で出したタイムを0.3秒ほど上回る4分03秒510でゴール。そのタイムは、アジア新記録ともなる結果となりました。

「僕たちが日本記録を出したのは、確かにそうなんですけど、それでも、中国に勝って世界選手権に行くというのが目標だったんで… 日本記録はその通過点にあったということで、でも、負けたっていうのは….」

ゴール直後の一丸は、言葉も少なく、遠くを見ながら、こう述べました。その目には悔し涙が滲んでいます。いつも明るい性格で、ムードメーカーでもある一丸ですが、今日ばかりはその悔しさを隠せません。

しかし、日本記録を3秒近くも縮めたのは事実です。一丸の走力は、年々上がっているとの評価も高くあります。一丸はさらに成長することでしょう。アンカーは、一丸の成長とその実証を待ち望んでいます。

2016年アジア自転車競技選手権大会(静岡県 伊豆修善寺)
RESULT / 男子エリート チームパーシュート 2016年1月27日

1位 中国 4:03.510 (アジア新記録)
2位 日本 4:05.637
 (窪木一茂、一丸尚伍、近谷涼、原田裕成)
3位 韓国

公式リザルトはこちら。
http://cycling-championships.asia/wp/wp-content/uploads/downloads/2016/01/COM0127.pdf