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16/07/19

【MTB 2016全日本選手権】平野星矢、後半の追い上げかなわず2位に。

レース名:2016 MTB全日本選手権 XCO
日時:2016年7月17日(日)
開催地:長野県・富士見パノラマスキー場
4.6km x 6周 + スタートループ 2.79km = 30.39km

ブリヂストン アンカー サイクリングチーム出場選手:平野星矢


Photo: Hiroyuki Nakagawa


7月17日、MTB クロスカントリー競技の全日本選手権が、長野県富士見パノラマスキー場にて行われました。この男子エリートクラスにて、平野星矢が2位を獲得しました。チームは今季すべてのスケジュールをこの日に合わせ、最後まで諦めないレースを進めましたが、ロードチームが勝ち獲った、ロードレース、タイムトライアルに加えての全日本トリプルタイトルはあと一歩、手中に収めることはできませんでした。


Photo: Team Camera


また、この全日本選手権には、ブリヂストン アンカー サイクリングチームからは2名のMTBチームライダー、平野と沢田時が出場予定でしたが、U23クラスの沢田は先の世界選手権で転倒し、鎖骨と肘を骨折。レース3日前に手術を敢行したため、この大会には未出場となりました。

沢田はジュニア、U23を含めての全日本選手権6連覇を狙っていたので残念ですが、これからの沢田には、怪我の癒えに伴う大きな伸びしろが待っているはず。彼は必ず進化し、強くなって復活するに違いありません。9月のレース復帰を目指し、確実な治療を行いながらトレーニングを開始しています。



Photo: Team Camera


レース当日は、朝から小雨が降っては晴れるという天候。気温自体はそんなに高くないのですが、湿気がとても高く、強い太陽が顔を出すと一気に汗が出だすという、体力が搾り取られそうなコンディションです。

レースは午後2時半にスタート。スタートパックでの混戦から、シングルトラックまでの長い上りで、山本幸平選手(トレック ファクトリーレーシング)と、今季強さを見せる若手、中原義貴(BH SRサンツアー)がスッと抜け出し、1テンポ遅れて、平野が食らいつきます。



ーー先頭2人から遅れる平野=右 photo: Team Camera


2周めに入り、前方の2人から平野は少しずつ遅れ始めます。そして3周めになると、中原選手の後ろに山本選手が付き、平野は大幅に遅れてしまいます。平野は「前半は調子悪かったです。力が入らず路面の荒れへの対応もできず流れてしまうし」と振りかえります。

3周めから4周目にかけ、前を行く2選手にもドラマがありました。中原選手の後ろに山本選手はピタリとついています。MTBはロードレースとは異なり、選手の後ろについても空気抵抗の軽減などはありませんが、それ以上に、さまざま難しいセクションでのライン取りや走りのクセを見きわめられるのは大きなメリットです。自分のラインやクセを見せず、中原選手にスピードを落とさせないよう後ろをピタリとフタをする山本選手の戦略には、ワールドライダーならではの走りが見られます。



ーー平野のご家族が、旗と共に応援に駆けつけてくれました。旗は平野の御祖父の作、それを持つのは「星矢と似ていなくてすいません(笑)」という平野のお兄さん。笑顔はそっくりです。Photo: Team Camera


そして4周目、直感で動いたという山本選手は中原選手を抜き去り、一気にペースを上げます。これが多くのライダーを周回遅れや80%ルール(トップ選手の周回ラップタイムの80%相当以上の差になった選手はレースを降りるというルール)に適合させました。山本選手は強いプッシュを続け、一人抜け出ていきます。これにより69名でスタートしたこのレースも、終了時点で完走したのは16名という過酷なものとなりました。


Photo: Hiroyuki Nakagawa


3位を走っていた平野は、自分の不調を自覚しつつ、こんなふうに走っていました。

「一度落ち着いて走ろうと思いました。軽めのギアで走っていたらうまく行かなかったので、重いギアでゆっくり踏みだしたら、調子良くなりました。その調子の良さをキープしていたら、前(中原選手)と距離が近づいてきたんです」

フィードゾーンから指示が出ます。「この周回で確実に前(中原選手)を捉えろ」。山本選手の戦略に翻弄された中原選手、後ろからスピードを上げる平野にいくつかのシングルトラックで差を詰められ、そして平野に2位を譲ります。



Photo: Hiroyuki Nakagawa


2位となった平野は、最速の周回タイムを叩き出し、山本選手と40秒以上空いていた差を、28秒にまで詰めます。傍から見ていても明らかに好調な走り。ギアの掛かりもも力強く、ダウンヒルセクションでもスピードを緩めることはありません。


しかし、この勢いを感じた山本選手がラスト周回で苦しみながらも踏み直して更に加速。平野はこれを上回るパフォーマンスを発揮できず、集中も欠けてしまい、山本選手の背中を逃していくことになりました。


ーー応援旗を振り、平野を応援するご家族の方々。Photo: Team Camera

「今回は(山本選手との)差がありました。もっともっと練習が必要です」と平野は冷静に振りかえります。


ーー平野は2位でゴール。Photo: Team Camera


今年の全日本でも、平野のゼッケン数字が「2」から「1」へと入れ替わることはありませんでした。ワールドカップをメインに活動する山本選手より強くなることを目標に、海外と国内で積極的なチーム合宿やレースを戦ってきましたが、その目標をこの場で達成することは叶いませんでした。

タイム差は1分23秒。現実を真摯に受け止め、明白となった課題をひとつひとつ解決し、もっと強く、もっと速く進化していかなければなりません。レース後のチームミーティングが終わり、平野は監督と二人きりで会話していました。監督と平野は長い時間握手しながら、この先の覚悟を決めたといいます。


ーー応援旗を作られたお祖父さまと平野。Photo: Team Camera


そして、ナショナルチャンピオンとなった山本選手には、2016年8月、ブラジルでの世界的な大舞台で日本を代表し、ぜひとも活躍してもらいたく、願っています。

【リザルト】
2016 MTB全日本選手権

1 山本幸平(Trek Factory Racing) 1:39:18
2 平野星矢(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +1:23
3 中原義貴(BH SRサンツアー) +2:37