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16/09/13

【MTB 2016CJ#4 白馬】沢田時の優勝、怪我からの完全復活

2016年全日本選手権を怪我で棒に振り、『自分史上最強』までにカラダを作り復帰戦のCJ#4 白馬を優勝。完全復活を遂げたブリヂストン アンカー MTBチーム、沢田時の『この悔しさは一生忘れない』から、『これまでの競技人生で最高とも言える瞬間であった』まで。その迫真のレポートが届きました。


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大会名: CJ#4 白馬大会
開催日:   2016年9月11日
開催場所:  長野県白馬村 クロスカントリー競技場
カテゴリー: エリート男子
リザルト: 優勝
天 候:   晴れ
コースコンディション: ドライ(一部ウェット)

ついにこの時がやってきた。本当に待ちに待ったレースであった。
3ヶ月もの間レースを走らなかったというのは初めての経験かもしれない。しかし何よりも全日本選手権を走れなかったという苦い経験は今年が最初で最後にしたい。

6月30日、チェコで開催された世界選手権のコース試走中に転倒して左の鎖骨と肘を骨折。この怪我によって世界戦だけでなく、4連覇のかかっていた全日本選手権も欠場することとなった。競技人生で初めてと言える大怪我を最悪なタイミングで起こしてしまった。この時の悔しさは一生忘れないと思う。



2016年7月2日


それでも世界戦と全日本に向けて上げていた調子を落としたくなかったので、骨折をしてから一週後には手放しでローラーに乗った。
鎖骨の手術を終えてハンドルを握れるようになってからは毎週MAPテスト(1分毎に20Wずつパワーを上げていくテスト)をしてトレーニングに最適なパワー数値を調べ、その数値を目標にローラー台で限界まで自分を追い込んだ。テストでは毎週自己ベストを更新し続けた。
減量にも取り組み、全日本前に62kgまで落ちていた体重をさらに59kgまで絞った。

復帰までに設定した目標数値は全てクリア。ここまでの全ての時間は怪我を治すことと強くなることに注ぎ、1秒も無駄にしていないと言い切れる。



一か月ぶりに外で自転車に乗ったとき、自分が身体的にも精神的にも怪我をする前よりずっと強くなっていることを確信する。本気でやればたった一か月でここまで変われるんだと思った。久しぶりに自転車に乗れたことよりも、怪我をきっかけにより強くタフな自分に変われたことが嬉しかった。早く今の自分の姿をレースで見てもらいたい。この一か月はレースが待ち遠しくてたまらなかった。

それでもスタート前は緊張した。レース当日だけでなく1週間前からずっと緊張していた。これだけやったのだから絶対に勝てるという強い気持ちと、これだけやったのに負けたらどうしようという不安な気持ちが交錯している感じ。

ただ一つ自信を持って言えることは、もし今の僕が怪我をする前の自分自身と勝負することがあったら絶対に勝つということ。今の僕が自分史上最強だということは誰よりも分かっている。今日はそのことを証明するために走るだけだと考えると落ち着くことができた。



スタートは最前列ではあったが、自分が並んでいる場所は芝生の路面であるため右側のアスファルトの路面に並ぶ選手と比べると加速で不利な状況。スタート直後の直線は無理をして踏まずに、第1コーナーでスピードを殺さないポジション取りを心がけた。コーナーを安定してクリアし、最初の登りは5〜6番手で登り始める。

後ろを見ると先頭の平林選手がキレのあるダッシュで集団から数秒抜け出しており、他の選手は追えていないことが分かった。今日最も手強い相手は平林選手だと把握する。登りの中盤で追いつき、登り終わりで相手が少し失速したところで先頭に立った。この先のシングルトラックの入り口にある一本橋セクションが非常に滑り易く落車のリスクが高いため、ミスを避けるために先頭で入ることが重要だった。

そして自分がこのセクションをゆっくりと慎重に行くほど後ろの選手は走り難いので、力を使わずに集団から抜け出すことができる。シングルトラックを抜けると僕の後ろにいるのは平林選手のみ。この後はイージーでハイスピードなダブルトラックが続くため、2番手につけて体力を温存。次の勝負どころに向けて力を貯める。

コース後半のシングルトラックの前で再び先頭に出る。根っこが浮き出ている上にまだ泥が残っていて滑りやすいシングルトラックをミスなく通過し、平林選手に3秒ほどのタイム差をつけることに成功する。もしこの時点で数秒でも差を付けることができていたらホームストレートの直線は全力で踏み抜くとスタート前から決めていた。

そのためにフロントのギヤはおそらく上位陣の中では一番大きな36Tを選択している。この平坦区間は自分にとっての勝負どころ。2周目の序盤の登りではまだ後ろから平林選手の気配を感じたが、徐々に差が開いてきているので落ち着いて走る。

レース中盤にはタイム差が30秒ほどに広がり勝てる可能性はかなり高くなってきたが、それと同時に今までにはなかった緊張感が出てきた。まだ身体に余裕はあるのだが、早くレースを終わらせて楽になりたい。ミスが許されない状況で走り続けるのは非常に疲れる。特にコース序盤の一本橋セクションで落車すると一気に差を詰められることになるため、毎周回とても緊張した。

最終周回は危険なセクションを通過する度に確実に優勝に向けて近づいていることを実感できた。ゴールが見えると何度もガッツポーズが出た。どうしても果たしたかった復帰戦での優勝。これまでの競技人生で最高とも言える瞬間であった。



ここまで本当に多くの方の助けを借りて、レースを走れるまでに回復できたことに感謝の気持ちでいっぱいです。走ることが仕事である僕が1秒でも早く復帰できるように努力することは当然のことで、その努力は僕の周りの本当にたくさんの方々によって支えられてきました。僕を助け、応援してくれた全ての方々と今回の勝利を喜び合えることをとても嬉しく感じます。

年内はシクロクロスを含めるとまだ13戦もレースが残っています。今の自分はまだ成長過程であると思っているので、引き続き強くなるための練習と生活に全力を注ぎ、残りのレースは全て勝つつもりで過ごしていきます。

今後ともご声援のほど宜しくお願い致します。
本当にありがとうございました。


BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM
沢田 時