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17/04/04

【ツール・ド・とちぎ2017】『本物のロードレース』を味わえた3日間


3月31日から4月2日までの3日間にかけ、栃木県全域を舞台に行われたツール・ド・とちぎ。このレースについて、BGTチームの水谷監督は、「本当のロードレースの楽しさというのを、走る側も、そしておそらく見る側も感じたレースでした」と力強く言いました。

15歳のときにフランスに渡り、ブリヂストン アンカー サイクリングチームの選手として、そして現在は監督として、欧州自転車レースの現場に身を置き続けてきた水谷監督。彼はこのツール・ド・とちぎを、レースとしてだけではなく、その全体のあり方を高く評価し、そして大きな感謝を述べました。その主旨を記します。

All Photos: Hideaki Takagi


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このツール・ド・とちぎは、何よりも「ラインレース」、スタートとゴールが異なるレースであったことが際立ちました。



日本で行われるレースのほとんど、と言うより、ツール・ド・北海道での1ステージを除いたあらゆる主要レースはスタートとゴールが同じ周回レースです。

運営という意味では、一箇所で全てが完結する周回レースが断然に楽でしょう。しかし、ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアといった伝統的なレースも、町から町へと移動するラインレース。そのラインレースが、全日程に渡り日本の公道で行われたという事実に、まず感動を感じています。



レース運営側の方々にも、多大なる労苦があったことでしょう。運営にかかわられた方々へ、その働きに対する感謝を、そしてねぎらいの言葉を送りたいと思います。



次に、日本ならではの景観、すなわち自然と街並みを存分に利用したレースだったことです。栃木という自然と文化を存分に体感できました。



例えば日光周辺の景観であったり、雪が残る日本ならでは山の形。特に晴れた最終ステージには、美しく目に映りました。日本特有の樹木が覆う峠、稲田の農道、そういった日本独特の雰囲気のある道を繰り返し走ったことにも、感慨を覚えました。栃木でしか見られない景色、日本でしか走れない道。地元の方には当たり前かもしれませんが、そうでない選手たちは、また違った感覚で捉えるものです。



さらにはこのコースレイアウトが、ロードレースというスポーツの楽しさと厳しさをすべて表現していました。山岳地域、そして平坦とバリエーションに富んだ地形。コース自体も、細い生活道路から広い幹線道路を組み合わせたことで、戦略的にも複雑になり、レースをより面白くしました。



日本に限らずUCIアジアツアーレースの多くは一般に、単に「自転車が走れればいい」、広く単調な道のコース設定であるように感じます。ですがツール・ド・とちぎでは、このコースレイアウトだけでも、地域にロードレースが受け入れられていることを感じました。



地域の方々の大勢にも、コース脇間近で観戦いただきました。登りで鈴なりになっている観客の間を走るのは、選手にとってそれだけで、とても大きな力と高揚感が沸くものです。あたかもヨーロッパで走っているような感覚でした。



そしてUCI公認、アジアツアー2.2 カテゴリーだったこと。UCIポイントは、世界を目指しロードレースを走る選手としては、必ず手に入れたいもの。それが獲得できる日本では数少ないレースであったのは、海外チームも多く来日し、レベルの高いレースが行われるということでもあります。



そのUCI基準として恥ずかしくない全体のレース運営、特に安全面に最大限に配慮していたのもありがたかったです。最後コースミスは起こってしまいましたが、これは運営の問題だけでなく、選手たちの予習不足もあったでしょう。



加えて、それをネットでの実況中継という形で、レース全ての模様を誰もが見られるようにしたこと。これが最高だったと聞きました。自転車の走行音、選手の息遣いすら聞こえるライブ感。中継を行っていたのは、携帯電話の電波と一般的なビデオカメラだったそうですね。ネットやスマホと言った技術が、自転車レースの見方を大きく変える。この時代の流れに、頼もしい未来を感じました。



ただ、やはりロードレースの醍醐味というのは、現場に来て、その速度をその目で見て、感じてもらうこと。もし今年、ライブ放送でご覧になっていたみなさんには、来年は、ぜひ現場に来て、このツール・ド・とちぎという『本物のロードレース』を体感して欲しいです。


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ここで、今回の3日間、3ステージで走った、栃木の市町を振り返ります。

1日目:日光市、鹿沼市、栃木市、佐野市、足利市

2日目:茂木町、那須烏山市、那珂川町、大田原市、那須町、那須塩原市

3日目:矢板市、塩谷町、さくら市、那須烏山市、高根沢町、芳賀町、一貝町、宇都宮市



このツール・ド・とちぎは、また来年も開催されます。上記市町に加え、今年走り切れなかった栃木の市町を、来年はめぐります。

その人生の大半を欧州ロードレースシーンで過ごしてきた水谷監督が、手放しで褒めるこのレース。来年の開催時には、ぜひここ栃木で、みなさまにも『本物のロードレース』を体感いただきたいと思います。