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17/12/29

【ルックバックBGT2017】ロードチーム監督・水谷壮宏「予測もつかない世界でありますが、強い意志さえあれば目標を成し遂げられます」


2017/9/8 ツール・ド・北海道 photo: M.Shimizu


【ルックバックBGT2017】2017シーズンのブリヂストン アンカー サイクリングチームを、最後に振り返るのは、ロードチーム監督、Takè(タケー)こと水谷壮宏です。

15歳で渡仏した野望高きサイクリスト、タケヒロ・ミズタニは、その青春期を本場フランスのプロへの貪欲さの中ですごします。プロとなり、ブリヂストン・アンカーに加入し逆輸入。選手としてさまざま活躍し、2013年よりロード監督としてチームを率いてきました。

監督として5年のキャリアでの成果が、昨年のロード全日本選手権両制覇、そして今年のTT連覇。全日本ロードこそ運命に翻弄されましたが、選手選びに始まるチームづくりは、2年に渡り日本一を獲得しました。

フランス仕込みの野性味あふれる作戦力と実績。往年の巨人軍長嶋監督像を彷彿とさせんでもありません。水谷監督が、2017シーズンのブリヂストン アンカー サイクリングチームを振り返ります。



2017/9/9 ツール・ド・北海道 photo:M.Shimizu


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*2017シーズン、心に残ったできごと

今年のチーム活動の中で数え切れない程の出来事があった。もちろんレースの出来事を語りたいが、監督として初めて大失敗してしまったNo.1は、カザフスタンのアルマトイで行われたレースの帰りである。

自分、ダミアンとミッシェルはアルマトイ〜モスクワ〜パリ行きのフライトに乗り無事にフランスに到着するが、日本帰国組はアルマトイ〜セントピータースバーグ〜モスクワ〜東京のフライトだったが、自分の失敗でロシアのトランジットビザを発行しておらず、セントピータースバーグで国内線のロシア行きに乗れず足止めを食らう事になってしまった。



2017/9/10 ツール・ド・北海道 photo: M.Shimizu


しかも複数の選手はアルマトイで食あたりになり体調が悪くどうなるか分からないなか、中山メカとの交渉で幸いアエロフロートの地上スタッフがドイツ・ミュンヘン経由のフライトに変更してもらい、なんとか日本に到着できた。

しかし無事に帰国をしたはずが、肝心な荷物+自転車が届いておらず翌日に届くの事。そこで中山メカとマダム中山がわざわざ休日に対応してくれ無事に荷物を回収してもらった。

しかしここで終わりでは無く翌日にイランの出発が迫っており新たな準備等など大変で関係者全員に迷惑をかけてしまった。

その後のツール・ド・イランでは、選手スタッフ共々は移動の疲れを見せずにレースで健闘してくれ、監督としてチームメイトを誇りに思った。



2017/6/24 全日本選手権ロードレース前夜 photo:K. Tsuji


*2017シーズン、心に残っているレース

もちろん全日本選手権、シーズンインから全日本までの予定を計画し、数多くのレース、練習、全てをチーム全員で万全な状態で挑んだレースだ。

しかしスタート直後にエースの初山、大久保、堀の3人が落車してしまう悪夢に襲われた。龍が4位に入り勝てる実力を持っていたのにも関わらず、最初の大落車で我を失ってしまい指示をしっかりできなかった監督の私でもあった。

皆が本当に辛い練習を誰よりもこなし命懸けで挑んだレースだけであって、全てを一瞬で失ってしまう辛さは計り知れないであろう。
今でも「なぜ全日本で?」とよく思いだす。



2017/6/4 ツール・ド・熊野 photo: M.Shimizu


全日本同様に思いがあるもう一つのレースは、ダミアンの熊野最終ステージ優勝である。

ダミアンは最終ステージのほとんどを独走し、初の日本UCIレース優勝を成し遂げた。
その前のTOJでも同様の走りで攻めていたが、後もう少しの所で捕まってしまい悔しい経験を何度も味わったにも関わらず、常に諦めない走りで攻め続け優勝した彼は印象的であった。

以前ジロで区間優勝したり、ツール・ド・フランスで活躍していたダミアンの面影を目の当たりにしたレースでもあった。



2017/6/25 全日本選手権ロードレース photo:M.Shimizu


*2017シーズンのチームを振り返って

2016年に大きなチーム方針変更でメンバーの半分以上の入れ替わりがあり、2017年スタート時は正直に不安であった。

しかし最初の沖縄合宿から思ったより全体的に調子がよく、初戦のフィリピンでも不安を吹き飛ばす以上の手応えある走りをしてくれた、お陰で不安は無くなりシーズンインの良いスタートを切る事ができた。

そしてほとんど昨年同様のレーススケジュールの中、選手各自は常に目標へ向かい成績を出しステップアップした。
全日本は残念だったが、良太の全日本個人TT連覇、ダミヤンのツールド熊野区間優勝、龍のJBCF那須とツールド北海道区間優勝、初山のTOJ山岳賞獲得など、その他多くの素晴らしい成績を収める事ができ大変に良いシーズンでもあった。

骨折など怪我をしてしまう選手や、レース移動でのハプニングやレースでの多くのトラブルがあった。しかしそれら難関を乗り越えチームとして機能してきたチームメイトを本当に誇りに思い、そして終わってしまう事を残念に思う。



2017/5/28 ツアー・オブ・ジャパン photo:M.Shimizu


メッセージ

2018年はBSCの大きな活動方針の変更で、私の監督としての任務は2017年満期で終了になります。

2013年から5シーズンアンカーチームの監督を務めさせて頂き、お陰様で輝かしい成績を収める事ができました。

全世界を駆け巡るレース参戦の中、数多くの素晴らしい経験をさせて頂き、ブリヂストンサイクルの皆様に心の底から感謝しております。そして常に協力してチームを支えてくださった多くのチームスポンサー様、サプライヤー様にも感謝の気持ちで一杯です。



2017/9/8 ツール・ド・北海道 photo: M.Shimizu


私の人生の中でこの5シーズンは大切なものであり、学んだ事は多く、特に素晴らしい人々との出会いが印象的でした。

毎年入れ替わる選手スタッフと出会い同じ戦場で戦い、同じ敗北感や喜びを味わいながら気が付けばまたそれぞれ別の世界へと歩んで行くこの世界です。

自分の意思でその場に残るか前へ進むかは自由、予測もつかない世界ではありますが、強い意志さえあれば目標を成し遂げられます。

これを忘れずに、今までお世話になった選手、スタッフへ、これからの健闘を祈ります。



2017/2/9 2017チームプレゼンテーション photo: M.Shimizu


そして最後に、日本全国どのレースに行っても応援に来てくれるファンの皆様、本当にいつも暖かい応援ありがとうございます。沿道で『水谷監督!』『タケー!』と声を掛けて頂いた事は忘れません、またいつの日か声を掛けて貰える事を楽しみしています。

みなさん本当にありがとうございました、良い新年をお迎え下さい。

A DIEU



グアドループでのワンショット、このタフなレースにも関わらず笑顔を忘れずレースを楽しむ選手には魅せられた。



疲れか、緊張感のせいか、たまに意味不明な行動をする利輝さん。



数多くの仕事にも負けず、ユーモアも忘れない中山メカ。



ブリヂストンは2012年からお世話になってるマッサーのミッシェル、
66歳になるが世界で一番元気なおじいさん。
手に持っているコケシは、選手からの感謝の贈り物。



安見マッサーの腕は勿論抜群、そして安見さんは話すとなぜか心が癒される不思議な力を持っている。