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17/04/23

【MTB CJ#1 八幡浜】もどかしかった開幕戦、沢田『優勝』するも実質2位

レース名:クップ・ドゥ・ジャポン 八幡浜大会
開催地:愛媛県八幡浜市 
開催日:2017年4月23日
カテゴリー: エリート男子
レース距離:25.80Km

Photos : Satoshi Oda

ブリヂストン アンカー サイクリングチーム出場選手:沢田時、平野星矢


(沢田時)


2017年、ブリヂストン アンカー サイクリングチームのMTBチームの公式レースが開幕しました。初戦となったクップ・ドゥ・ジャポン(CJ)、八幡浜大会では、沢田時がエリート男子クラスを優勝し、平野星矢が4位となりました。ただし、沢田の優勝は当レースでは実質2位、平野は独走優勝を目前にしての4位転落となりました。2017年MTB初戦は、ブリヂストン アンカー MTBチームにとっての大きな「教え」となりました。


CJは、日本でのMTBシリーズレースの最高峰として位置づけられます。世界選手権などでの日本代表選手を選出する基準ともなるシリーズ戦です。このCJシリーズチャンプを昨年は沢田が、一昨年は平野が獲得しています。


(平野星矢)


ここ、八幡浜のコースは、北コースと南コース、大きく2つのセクションに分かれます。前半となる北コースは舗装路の登りや平地も多く含まれたタイム差がつきにくいもの。後半の南コースは、木の根っこが連続するコース一番の技術セクション「ゴジラの背」や、急な斜度を登る坂が含まれ、ライダーの技術力と劇的な踏力が試される、タイム差を付けやすいところです。

この南コースの存在、そしてエリートとU23クラスが混走であったことが、この開幕レース、さまざまなドラマを生みました。


スタート直後から、平野、沢田は共に先頭をリードします。そこに前田公平選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)、そしてU23クラスの平林安里選手(SPECIALIZED RADING JAPAN)が付きます。レースは基本的にこの4人を基盤にハイスピードで進み、途中先頭が3名となった時にも、平野と沢田の2人は先頭に含まれていました。

5周回のレースの3周目、平野は南コース入口となる急坂、通称『桜坂』でアタックをかけ、後続する沢田ら3名を大きく突き放します。

「北コースは、自分の走りとリズムが合わず、差はつきにくいし差を付けても平地で追いつかれてしまうので、南コースの桜坂で(アタックを)カケて、後ろを離して、スピードをキープしました」(平野)


その作戦通り、平野はそのまま4周目を1人トップでひた走り、その後を沢田、平林選手の2名が追いかける形となりました。前田選手は南コース途中でパンクし後退しています。

最終周回である5周目、独走状態の平野が北コースに入り、そのまま優勝かと思われましたが、ここで番狂わせが起こります。


「転倒しました。大して難しい所ではなかったんですが、安全策をとるとかえって危ないかと思い、ギリギリまで攻めましたが、それが裏目に出ました。ハンドルが曲がり、戻すのに大きく手間取っている間に時くん(沢田)と安里くん(平林選手)に抜かれました」(平野)

さらに、その転倒でリアディレーラーを破損、そこからは完走を目指す走りになりました。それでも結果4位。圧倒的な力量を見せつけ、独走優勝が見えていただけに残念ですが、これもレースです。

そして沢田と平林選手の一騎打ちとになりました。ただ、平林選手はU23クラスの混走、このままゴールすればどちらも各クラス優勝、ということになりますが、そこは互いに先行を譲りません。


コース終盤である南コース入り口『桜坂』で、沢田は平林選手を引き離しました。しかしその後『ゴジラの背』で平林選手がサドルに座ることなく立ち漕ぎを続け沢田に追いつき、その直後の急坂で沢田を抜き去りました。そして平林選手は残す下りを走りきり、そのまま先頭でゴール。沢田はエリートクラスとしては優勝ですが、実質は2位でゴールとなりました。


「悔しいですね。この展開で負けるとは思わなかったので。。。ただ、この初戦を走ってみて、去年のピークと比べると自分の力は7、8割程度かなとも感じました。これからの練習でバランスをとり冷静に対処して、気を抜かずに行きたいと思います」

表彰台では中央に立ち、記録される結果も優勝でしたが、その実は2位だった沢田。そして確実な地脚と作戦力を持ちながらも、走りへの過信でそれをふいにした平野。


その実力は昨年以上であることを確信し、結果も残しましたが、全く納得の行かないシーズン初戦となりました。しかしこの悔しさは、慢心を抱くな、という何かしらの教えなのかもしれません。より強くなったライバルに敬意を払い、己を知り尽くすこと。その大切をチーム選手は改めて心に刻みました。

ブリヂストン アンカー MTBチームは、2017年も最強であり続けます。この初戦のもどかしい結果は、さらなる強さを証明するための序章です。ご期待ください。


【リザルト】
エリート男子
1 沢田時(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) 1:21:17
2 恩田祐一(MIYATA--MERIDA BIKING TEAM) +49.36
3 竹之内悠(Toyo Frame)+1:12.13
4 平野星矢(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)+1:32.33

(参考 U23男子リザルト)
1 平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN)1:21:09

 
17/04/18

【ツール・デュ・ロワレシェール】ステージ5(最終)「バイクペーサーのような速度」

レース名 : ツール・デュ・ロワレシェール(Tour du Loir et Cher) 第5(最終)ステージ
カテゴリー : UCI 2.2
開催地 : フランス Montrichard › Montrichard
開催日 : 2017年4月16日
距離 : 97.5km



昨日の屈辱的な1日を超え、最終ステージに臨んだブリヂストン アンカー サイクリングチーム。鈴木龍とダミアン・モニエの2名のみが参戦しました。

総合優勝を狙うチーム、ステージ優勝だけでも獲得したいチームと、さまざまな思惑が錯綜し、レース自体のペースはとても速度の高いものとなりました。95kmという短めの距離というのもあり、各チームは逃げを容認することなく、逃げを試みても10〜20秒ほど、あっという間に集団が吸収し、ゴールに向けて荒々しく速度を上げていきます。

「まるで、バイクペーサーで練習しているようだった」と、ダミアンは集団の速度の速さを振りかえります。

このレベルのレースに出場する選手たちは、レースでの勝利はもちろんのこと、全てがその先にあるステップを見て走っています。つまり、このレースで勝利することが、UCI最高カテゴリーであるワールドツアーのチームの目に止まり、契約への声がかかることが多いためです。

参加していたのは、オランダ、ドイツ、ノルウェイといった北ヨーロッパ勢が多く、体格の大きさも相まって、争いの激しさが伝わってきます。なかでも若い選手は、なにがなんでも成績を出さなければいけない、その気迫が走りにあらわれています。

すべてのロード選手が持ち合わせているであろうその野心は、この最終ステージで、より強く実感されるものとなりました。このツール・デュ・ロワレシェールだけでなく、フランスでのあらゆるレースで感じられるものだと水谷監督は述べます。



チームから2人のみの出場では勝ちを狙うのは現実的ではなく、またその速度の上がった集団での不用意な落車を避けるため、鈴木とダミアンは今日、完走のみを目的とし、その役目を無事こなしました。

「今回のレースは、もちろんタイムアウトはありましたが、評価すべき点があります。今まででは、できなかった攻撃を行い、それを成功させたこと。大久保陣の敢闘賞、面手利輝の積極的な逃げ。これらを実行できたことで、全くの0点ではなかったと思っています。

やるべきことを行い、一つ一つのレース活動を大事にし、経験を結果に繋げる。地道ではありますが確かな段階を踏んでいると感じています。

私たちは、明らかに強くなっています。ただそれを、今回はうまく繋げられずに、厳しさだけを感じてしまったということ。次のレース、ツール・ド・アゼルバイジャンで、今回得られた糧を、結果として表していく。それが全日本選手権連覇につながると感じています」(水谷監督)


選手たちはこの後、2週間を空け、重要なレースを連戦します。ツール・ド・アゼルバイジャン、ツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野、そしてツール・ド・コリア。今回の逆境で培われた地力をこれらステージレースで発揮することで、ブリヂストン アンカー サイクリングチームの強さを、改めてみなさまに、お見せいたします。



【リザルト】
2017/04/16 - ツール・デュ・ロワレシェール
第5ステージ(最終) 
Tour du Loir et Cher (2.2)
Stage 5 (Final) » Blois › Blois (97.5km)

1 JENSEN August Team Coop 2:09:08
2 CLAUSEN Patrick Riwal Platform Cycling Team +0:00
3 GALTA Fredrik Strand Team Coop +0:00
58 SUZUKI Ryu/鈴木龍 Bridgestone Anchor Cycling Team +0:00
76 MONIER Damien/ダミアン・モニエ Bridgestone Anchor Cycling Team +0:00

[GC 総合成績]

1 KAMP Alexander Team Veloconcept 18:29:25
2 VINTHER Troels Riwal Platform Cycling Team +0:17
3 GULDHAMMER Rasmus Team Veloconcept +0:21
91 SUZUKI Ryu/鈴木龍 Bridgestone Anchor Cycling Team +19:49
110 MONIER Damien/ダミアン・モニエ Bridgestone Anchor Cycling Team +25:17

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無事にふたりは完走できたという感じで。クリテリウムで、ふたりでどうがんばっても、勝つのは難しい。それはわかっていたので、正直に完走をめざしてくれといって完走してもらいました。ふたりはそうだったんですけど。

「このレースは、バイクペーサーと練習しているのと同じだった」とダミアン。ほんとにね、次のレースに、スイッチを入れ替えて。

昨日は練習のひとつなんですよね。無事に完走してもらって、ここできつい走りをしたことによって、次に繋がる走りができたんで。それはよかったかなと。次のレースはアゼルバイジャン。


全体的な今回の評価として、もちろんタイムアウトということをしたんですが、今までにできなかった逃げに乗ること、それに敢闘賞を得たこと。そして面手自身も攻撃できたこと。それはいままでできなかったことなので。全体を見て全くの0点ではなかったなと。やることはやったんだろうと思います。

最終ステージは、ステージを獲りたいチームのガチンコ勝負が、スタートからゴールまで続いた感じでした。逃げが起こっても、もって10秒、20秒というところ。常に激しい展開をしていた感じでした。逃げを容認して、リーダーチームがコントロールして、タイム差をキープして、ということではなく、スタートからゴールまで、バイクペーサーのように早かったと言っていました。

5日間というのは、長めの方。なんていうか、ほんとにヨーロッパでは普通のロードレースであると。

ノルウェイ、オランダ、ドイツとか、いろんな北ヨーロッパ勢が多いんですが、争いの激しさが伝わってくる。若い選手がおおいし、何が何でも成績を出さなければいけないんだというのが伝わってきます。それが、あらゆるフランスで行われるレースで感じられます。

みんな上のステップを目指して頑張っているんだなというのを感じます。このレースで勝てばプロツアーがから声がかかってきますから、それを実感します。

こういうレースを走り続けるしかないんだなという感じですね。どこかで抜け出すという。このレースで勝負できない限り、無理でしょうね、プロコンになるのは。勝負に絡むというのが最低条件ですよね。でも今のうちのチームでは、勝負に絡むってことはできなかったというのが感覚。

こういうことから地道にやっていくしかないという。

ここにいなければいけない、とスタッフ、選手と話しています。
自分たちの出るレースを最大限に活かして、それをそれを成績につなげること。それを出せれば、体制も良くなっていくはず。

活動の一つ一つを大事にしていく。今始めてきたヨーロッパに来た選手も、経験から結果に繋げないといけないという。

また龍の話になりますけど、昨年は新人として、くろうしたんでしょうけど、苦労したからこそ、昨年以上に評価ができた。それを他の選手がどうみているか、どうつなげるかというね。

厳しさだけが残ったという。

この後2週間、今週は休んで、長い後半戦にむけて。アゼルバイジャン、TOJ、熊野、コリアと4ステージレースをこなしていく。ここからが勝負ですよね。

 
17/04/17

【ツール・デュ・ロワレシェール】ステージ4『敗北』

レース名 : ツール・デュ・ロワレシェール(Tour du Loir et Cher) 第4ステージ
カテゴリー : UCI 2.2
開催地 : フランス Montrichard › Montrichard
開催日 : 2017年4月15日
距離 : 142.5km


「今日のレースは、『敗北』、この言葉に全て表されてしまいます。力の無さを痛感しました」

「あらゆる勝負は、スタートして20kmで決まったといってもいいと思います」

「短いけれども勾配のきつい坂をいくつも超え、横風が吹きさらす平地を通り、脚のある選手だけが生き残りました」

「(鈴木)龍とダミアン(・モニエ)が、なんとか前の集団に残って展開を試みましたが、面手(利輝)、学(石橋)、陣(大久保)の3人はそのスタート後20kmの地点で完全に遅れました」

「その後、龍はグルペット(後方集団)に落ちそのままゴール。ダミアンもその後10人ほどのグループでなんとかゴールしましたが、面手、学、陣の3名は24分後、タイムリミットの20分から4分遅れでタイムアウト。そこでレースは終了です」

「スタートでは前方だったんですが、それでも勝負に絡めなかったのは、ただ個々の力が足りなかったということでしかないんですよね。この第4ステージこそがクイーンステージ(もっとも重要なステージ)でした。これまで毎日激しいアタック合戦を繰り返して、疲労が溜まっていたのはわかるんですが、それは他の選手も一緒。こういう展開になると、選手たちも予測は付いていたはずです。準備不足でした」

「確かに、欧州レースでは当たり前の、位置争いこそが結果につながる厳しいレース経験が、欧州の選手に比べて少ないのは事実です。ただ、ステージレースでタイムアウトになるというのは、極端に厳しい言い方をすれば、ロードレースで一番やってはいけないこと。。。しかもチームの半分がその1日にタイムアウトになるなんて、私としても初めての経験。恥ずかしいです」

「ただ評価したいのは、龍の意気込みでした。連日落車に巻き込まれ、傷を負って、精神的に疲れているのも感じられる。スタート前に『今日は無理しなくていい、追い込み過ぎても、うまくいかないから』と伝えたところ、『最初の逃げに乗っていきたい』という言葉が帰ってきました。だからこそ前に残れたんではないかと思うんです。最終的には、これまでの疲れが出たんでしょうが、その気持ちが、走りに見えました」

「4年前、初めてチームがこのレースに出た時は、全く歯が立たなかった。どうがんばっても逃げに乗れない。どうがんばってもゴールできない。ただ今年は違った。全く違う走りができていた。それなのに。。。
考えさせられましたね。結局、こういうレースをとにかく数多くこなして、順応していないとダメだなと」

「ただ大きな成長は、大きな失敗からも生まれます。失敗しないと、学べないものもあります」

「私もね、選手時代にありましたからね、タイムアウトは」(水谷監督)



【リザルト】

2017/04/15 - ツール・デュ・ロワレシェール
第4ステージ 
Tour du Loir et Cher (2.2)
Stage 4 » Montrichard › Montrichard (142.5km)

1 KAMP Alexander Team Veloconcept 3:25:08
2 VINTHER Troels Riwal Platform Cycling Team +0:00
3 VINGEGAARD RASMUSSEN Jonas ColoQuick CULT +0:00
108 SUZUKI Ryu/鈴木龍 Bridgestone Anchor Cycling Team +12:18
117 MONIER Damien/ダミアン・モニエ Bridgestone Anchor Cycling Team +17:46
HD OMOTE Toshiki/面手利輝 Bridgestone Anchor Cycling Team -3:25:08
HD ISHIBASHI Manabu/石橋学 Bridgestone Anchor Cycling Team -3:25:08
HD OKUBO Jin/大久保陣 Bridgestone Anchor Cycling Team -3:25:08


 
17/04/15

【ツール・デュ・ロワレシェール】ステージ3 野心ひしめく集団の混沌から面手が抜け出し自身を試す

レース名 : ツール・デュ・ロワレシェール(Tour du Loir et Cher) 第3ステージ
カテゴリー : UCI 2.2
開催地 : フランス Savigny-sur-Braye › Vendôme
開催日 : 2017年4月13日
距離 : 211km

ツール・ドゥ・ロワレシェール、第3ステージ。昨日に大久保陣の敢闘賞獲得で盛り上がったBGTチームは、今日の第3ステージでは、アマチュアとしてフランスでのレース経験を積んできた面手利輝が、その経験を活かしたアタックを仕掛けました。

選手が使用するバイク、ブリヂストン アンカー《RS9》を整備する中山メカニックは、レース後にこう言いました。「バイクを整備していると、後輪をロックさせた跡が多く残っているのがわかります。急ブレーキをよくかけてるんでしょうね」



UCIポイントを獲得できるレースであるため、その限られたポイント圏内に食い込むべく選手たちは、集団という一定の秩序の中でも、積極的という言葉を超えた動きを行いがち。そのために落車も頻繁に発生してしまうのが、このツール・デュ・ロワレシェール。

UCIカテゴリーの最上に位置する『ワールドツアー』を目指せる力を持った選手たちが、予定調和ではないレースを行う肉弾戦です。



「実際に走る立場としては『危険』という印象になりますが、ロードレースは本来こういうもの。これだけの人数が、このようなフランスの道を走ることで、今のロードレース文化は培われてきた。この文化の中で揉まれ強くなることで、上に登る道が開けます」(水谷監督)

第3ステージは、昨日の混戦と疲労があってか、前半から逃げ出した5名の選手を集団は容認します。

その後はリーダーチームが集団をコントロールし、細かなアタックを集団の力で潰しながらゴールに向かうという、昨日とは打って変わった『定番』の展開となりました。



211kmのコース、最後の30kmほどはゴールの町の5kmほどを周回するサーキットコースとなり、その中に1kmほどの厳しい未舗装区間、そして街中を巡る狭い道が含まれていました。

それまで秩序だっていた集団は、それら区間を基盤に選手個々の力の差が見え崩壊、その後は地脚勝負に近くなり、先頭グループはこれをチャンスと逃げ切りに全力をつくします。



その未舗装路での崩壊を見越し、フランスでのアマチュア経験を積んできた面手利輝がサーキットに入る前にアタック。付いてきた選手もうひとりと共に集団から抜け、未舗装での混沌を避けつつ先頭グループへのブリッジを願います。



面手のこの試みは、ゴールを5kmほど残して、残念ながら後続に吸収される結果となり、そして先頭グループは集団に、ほんの5秒ほどだけ追いつかれることなく、先頭ゴールの勝ち逃げとなりました。面手は吸収時の混乱に耐えきれず結果85位(チーム最上位)となりましたが、その先を見たアタック判断と行動は、必ずや今後の糧になることでしょう


鈴木龍は、未舗装区間で崩壊した集団、いえ選手たちの生存競争の束、に起因する落車に足止めされ、さらにはパンクを喫し総合順位を大きく下げました。ロードレースの本場フランスでの厚い選手層、そして上に登りたいという野心がひしめく最中のレースですから、こういった日もある、と冷静に捉えるのが次の日を迎えるために必要な心持ちです。


【リザルト】

2017/04/14 - ツール・デュ・ロワレシェール
第3ステージ 
Tour du Loir et Cher (2.2)
Stage 3 » Savigny-sur-Braye › Vendôme (211km)

1 DE KLEIJN Arvid Baby-Dump Cyclingteam 5:03:41
2 KAMP Alexander Team Veloconcept +0:00
3 CLAUSEN Patrick Riwal Platform Cycling Team +0:00
85 OMOTE Toshiki/面手利輝 Bridgestone Anchor Cycling Team +2:18
123 OKUBO Jin/大久保陣 Bridgestone Anchor Cycling Team +7:00
125 MONIER Damien/ダミアン・モニエ Bridgestone Anchor Cycling Team +7:00
128 SUZUKI Ryu/鈴木龍 Bridgestone Anchor Cycling Team +7:00
137 ISHIBASHI Manabu/石橋学 Bridgestone Anchor Cycling Team +7:00

 
17/04/14

【ツール・デュ・ロワレシェール】ステージ2 大久保が敢闘賞獲得!

レース名 : ツール・デュ・ロワレシェール(Tour du Loir et Cher) 第2ステージ
カテゴリー : UCI 2.2
開催地 : フランス La Ferté-Imbault › Vernoe-en-Sologne
開催日 : 2017年4月13日
距離 : 184km



ツール・デュ・ロワレシェール、第2ステージ。大久保陣が敢闘賞を獲得しました! 

レース序盤、昨日の勝ち逃げを警戒してか、あるいは積極的になったのか、あらゆるチームがアタックを仕掛け続けます。戦いとも呼べるほどアタックは繰り返されるも決定的なものもなく、その状況のなか、2時間近くも集団の中での争いが続くという、珍しい展開となりました。

その争いが続いたさなか、集団の緊張が緩み瞬間に始まった逃げに大久保は巧みに乗り、結果それが決定打となりました。4人は集団に2分ほどの差を付け、コース終盤に向かって先頭を走り続けます。



残念ながらラスト20km地点で4人は集団に吸収されてしまい、その吸収時の混沌のなか、大久保はタイミングを逃し後方に下がってしまいましたが、その積極的な走り、そして途中のボーナスポイントもしっかりと獲得したことが大きく評価され、見事に敢闘賞を獲得。ブリヂストン アンカー サイクリングチームの存在感を大きくアピールすることとなりました。



水谷監督は語ります。「逃げが決まるタイミング、というのがあるんです。集団が『疲れたな』とか『嫌だな』と思う空気感が。大久保はそれを見極めて、動けた。

思い返せばツール・ド・フィリピンでも、その決まる逃げに乗って、大きく逃げていましたしね。決まる逃げを嗅ぎ取るセンサーというか、そのセンスがあるんでしょうね。

残念だったのは、集団に捕まったときに後方に下がってしまったこと。そのまま順位を保っていれば、トップ10には入っていたんじゃないかとも思える位置取りだったので、これは本当に悔しい」



本人も相当に悔しがっていましたが、それはそれ。表彰台に登るというのは、本人はもちろんチームとしても気分が上がるものです。特にこういったレベルの高いレースでなら、なおさらのこと。


「やばい、おれ、フランスでモテちゃうかも」なんて軽口を叩いていましたが、今日は大健闘の大久保、それぐらいは当然です。なおチーム最上位は、集団内でゴールした鈴木龍の24位。確実に上位を狙える位置に居続ける鈴木も、着実にその実力を積み上げていると言えるでしょう。

その晩、上がり調子の雰囲気となったチームは、昨日に戦線を離脱し病院で手術を受けた堀孝明に、テレビ電話で大久保の受賞を報告します。堀からは経過も順調、あとは退院を待つだけであることを元気そうに伝えられ、昨日とは違う明るい心持ちで、明日を迎えます。

全5ステージ、残すところ3ステージ。波に乗ると強いブリヂストン アンカー サイクリングチーム、この勢いで、フランスでのBGT人気も高めて欲しいものです。


【リザルト】

2017/04/13 - ツール・デュ・ロワレシェール
第2ステージ 
Tour du Loir et Cher (2.2)
Stage 2 » La Ferté-Imbault › Vernoe-en-Sologne (184km)

1 FRAME Alex JLT Condor 4:18:37
2 VERMEULEN Jeff Destil - Jo Piels Cycling Team +0:00
3 VAN TRIJP Maarten Metec - TKH Continental Cyclingteam p/b Mantel +0:00
24 SUZUKI Ryu/鈴木龍 Bridgestone Anchor Cycling Team +0:00
76 OMOTE Toshiki/面手利輝 Bridgestone Anchor Cycling Team +0:00
130 MONIER Damien/ダミアン・モニエ Bridgestone Anchor Cycling Team +0:00
143 ISHIBASHI Manabu/石橋学 Bridgestone Anchor Cycling Team +0:00
149 OKUBO Jin/大久保陣 Bridgestone Anchor Cycling Team +1:04

 
17/04/14

【ツール・デュ・ロワレシェール】ステージ1 欧州レース参戦の難しさ

レース名 : ツール・デュ・ロワレシェール(Tour du Loir et Cher) 第1ステージ
カテゴリー : UCI 2.2
開催地 : Blois › Mont-Près-Chambord
開催日 : 2017年4月12日
距離 : 154.5km

ブリヂストン アンカー サイクリングチーム 出場選手:
石橋学、大久保陣、面手利輝、鈴木龍、堀孝明、ダミアン・モニエ



フランス中部にあるロワール地方にて行われるステージレース、ツール・デュ・ロワレシェール(Tour du Loir et Cher)にブリヂストン アンカー サイクリングチームが出場しました。

フランスでのレース出場は、BGTチームにとっては、活躍と修行、両方の意味合いを持たせた参戦となります。

「世界レベルのロードレースで直面するさまざまな厳しい状況。これらを備えたフランスでのUCIレースを数多く経験することで、あらゆる局面に耐えられる身体と精神を備えてほしいと考えています」(水谷監督)



そのレース名にも冠されるロワール=エ=シェール県は、自然豊かで美しい地域です。「フランスの地方」という言葉でイメージされる風景をそのまま体現するような地形が続きます。

それはすなわち、幹線道路ではなく生活道路が続く、起伏の少ないフラットな地形ということ。道は太くなり、細くなり、左右に振られるワインディングのような箇所も多く点在します。こういった地形を読み、予測し活かして走らないことには、結果長く棒状になる集団の前に位置することすら難しくなります。

単に坂を登れる、直線で速度を保てる、といったフィジカルな面だけではなく、自身の強いポイントを活かせる場所に居続ける、という感覚的な勝負強さも必要となります。一言でいうと「総合的なバランス」、となりますが、つまりはこういうことです。

その第1ステージでは、上記のような地形の利と運を活かしきれた7名の選手たちが逃げを決め、そして逃げ切りました。終盤に発生した集団の落車にて、集団は大幅にスピードを落とし、逃げを捕まえきれませんでした。

こういったことが起こるのが、欧州ロードレースの常識です。予定調和ではなく、ハプニングをも見越した走りを行う。その地力こそが必要とされるのです。しかしこの7名の勝ち逃げに、BGTは選手を載せることが出来ませんでした。最高位は、集団でゴールした鈴木龍の33位。

必要とされたのは、並み居る強豪チームを封じつつ集団をコントロールし、スプリンター選手をゴールスプリントに絡ませること。アジアツアーではその動きを行えるBGTチームですが、欧州レースでは、まだその力を発揮しきれていません。

「強豪を相手に集団をコントロールすること。これを実行できる脚と経験、感覚を養いつ付ければ、不可能だと思っていたことも、可能になる。これは明らかな事実であり、この事実を、とにかく選手は理解し、試みて、実現してもらいたい」と水谷監督は、必要なステップを一歩ずつ重ねることの大切さを、繰り返し説きます。


その集団落車に、堀孝明が巻き込まれました。堀は左腕を骨折し、ここでレースを終えました。フランスで手術を行う予定です。

堀の心情については、追ってご報告できるかと思います。



【リザルト】
2017/04/12 - ツール・デュ・ロワレシェール
第1ステージ 
58th Tour du Loir et Cher (2.2)
Stage 1 » Blois › Mont-Près-Chambord (154.5km)

1 SHAW Damien An Post Chain Reaction 3:32:23
2 ROSTOLLAN Thomas Equipe Cycliste Armée de Terre +0:04
3 VAN RHEE Joey Destil - Jo Piels Cycling Team +0:07
33 SUZUKI Ryu/鈴木龍 Bridgestone Anchor Cycling Team +0:47
39 OMOTE Toshiki/面手利輝 Bridgestone Anchor Cycling Team +0:47
142 ISHIBASHI Manabu/石橋学 Bridgestone Anchor Cycling Team +0:47
149 OKUBO Jin/大久保陣 Bridgestone Anchor Cycling Team +0:47
153 MONIER Damien/ダミアン・モニエ Bridgestone Anchor Cycling Team +0:47
DNF HORI Takaaki/堀孝明 Bridgestone Anchor Cycling Team -


 
17/04/11

【ダミアン・モニエに聞きました】「プロサイクリストにとって、骨折とは」


Photo: Hideaki Takagi


ブリヂストン アンカー サイクリングチーム、そのチーム全体の重鎮とも言える存在のダミアン・モニエ。フランス人である彼は、今年でBGTチーム5年目です。

2010年にはジロ・デ・イタリアのステージ優勝も成し遂げているダミアンの経験と知識は、言葉の壁もあってか、その走り以上に表に出ることは多くありません。
たしかにレース現場では、必要以上に多く語らないダミアンではあります。しかし、一度口を開けばその含蓄は常に深く、エスプリに富んだものです。



2016年 年末


昨年は、シーズン後半に鎖骨を骨折。せっかく訪れた『センセーション』に溢れた走りを味わいつくせずに(こちらの記事をご一読ください)シーズンを離脱したダミアンは、怪我から復帰してのシーズンインを、どんな心境で過ごしたのでしょう。

ダミアンに話を聞きました。途中から主題は「プロサイクリストにとって、骨折とは」に変わっていきました。レポートなどでは「落車を喫し骨折、リタイアした」などという一言で片付けられてしまうことが多い、骨折という大怪我。プロサイクリストにとって、骨折とは、一体どういう意味を持つのでしょう。ダミアンが、その経験を振りかえります。


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Photo: (c) Tour de Filipinas


僕にとって14度目となる今シーズン、なかなかいい調子で始まったよ。冬の間の準備もうまくいったしね。いつもよりも早めにまとめ上げることができたよ。というのも、去年の10月に鎖骨を折って、シーズンが早めに終わっちゃったからね。。。まあ、プロライダーとして、できることはきちんとするってことだよね。

フィリピンでのレース、そしてクロアチアのレースはうまく行った。自分を信じて、何度かいい逃げも決められたし。この走りの感じでいくと、ツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・アゼルバイジャン、ツール・ド・コリア、この3レースは、とにかく待ちきれないとしか言いようがないな。

今年のBGTチームは、半分以上が新しいメンバーになった。シーズンインの前には、この半分が新しいっていうチームがどう動けるのか、ちょっと怖くもあったんだよね。チームのレベルというものをね、冷静に見てね。

でも今のところ、心配したようなこともはぜんぜんなく、いい感じに進んでいる。新顔ライダーたちが、すぐに溶け込んで行く様子が見て取れたよ。沖縄のシーズン前合宿ではモチベーションは相当上がってたし、トレーニングもすごく熱心だった。

この感じはレースでも一緒だね。みんな積極的に前に出ていったし、最高の走りを見せてくれていた。これからのシーズンも、間違いなく問題ないと思うよ。

去年の骨折からの復帰について? そうだね、その話をしようか。

サイクリストが骨折するっていうのは、『ただ骨を折った』ってことだけじゃないんだよ。物理的な痛みじゃないんだ。

落車して骨折したとき、最初の2分間は、その痛みを感じ、それにどう対処するか考えるだろ。これは誰も一緒だ。でもそこからが違う。失われていく時間とのタイムトライアルが始まる。自転車に乗れない期間、それをどうしても目の前に突きつけられてしまう。

平均的なことを言うと、乗れない期間は2〜3週間、そこから体を動くように戻すまでにだいたい1ヶ月ぐらいは掛かる。その間に考えるのは、どうやったら、いち早く元のカラダに、コンディションに戻せるのか、ということばかり。。。シーズンは待ってくれない、ただ過ぎていくんだ。

毎日、毎日、自分に言い聞かせる。落車の前にあったコンディションはすべて失われてしまっている。これをまた、すべて積み上げていくんだ、って。同時に、次のプロ契約についての、そして成績が残せないことについての心配が常に心に常に浮んでくる。

あるいは、去年の僕のように、最高のコンディションを味わい楽しみ尽くせなかったことに、腹を立て続ける。。。。去年の僕にはいろんな目標があったんだ、鎖骨を折る前にはさ。本当に残念だったよ。

Photo: Deabong Kim

もっと昔の個人的な経験を話そうか。2012年の1月、チームCOFIDISで走っていたとき、シーズン直前に落車したんだ。

ひどい落車だった。顔を何か所も骨折した。眼窩、アゴ、鼻、歯、頭部外傷とそして1時間の記憶喪失。。。本当に痛かったよ、本当に。3日間で手術を2回も受けたぐらいだよ。

でも頭は回り続ける。「このあと一体どうなるんだろう。。。今シーズンは。。。これからのキャリアは。。。」その年の契約のうちに、僕はなんとしてでも結果を残さなくちゃいけなかった。

「1ヶ月半は入院を」と医者に伝えられたとき、「そんなの無理だ」と言い返した。

手術後5日目には病院の回りを歩くことから始め、その次の2日間は病院の階段を、5階分、30分間をかけて登ったり、下ったりを繰り返した。そして8日後には、『病院は承諾しない』という契約書にサインをしてなんとか退院し、10日後にはローラー台に乗っていたんだよね。。。

この時、家に戻ってローラー台に乗ったときの嬉しさ、そして安心感。これを言葉で説明することはできないな。始まるべきシーズンに、戻れたことが本当に嬉しかった。もう時間をムダにすることはないとも思ったんだ。

なんか話がいろいろそれちゃったね。でもまあ、まとめると、サイクリストにとって骨折ってのは、肉体的にというより精神的に大きな痛みなんだ。体の痛みなんてものは、事故の10〜15%ぐらいのもの。残りの85-90%は、「心配」なんだね。


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昨年を振り返れば、ブリヂストン アンカー サイクリングチームには、同じく鎖骨を骨折したMTBライダーの沢田時がいます。沢田は、怪我から3ヶ月かけて復帰し、日本の誰よりも速く、強くなりました。

プロサイクリストにとって、骨折とは。近く沢田にも、その話を聞いてみたいと思います。

 
17/04/04

【ツール・ド・とちぎ2017】『本物のロードレース』を味わえた3日間


3月31日から4月2日までの3日間にかけ、栃木県全域を舞台に行われたツール・ド・とちぎ。このレースについて、BGTチームの水谷監督は、「本当のロードレースの楽しさというのを、走る側も、そしておそらく見る側も感じたレースでした」と力強く言いました。

15歳のときにフランスに渡り、ブリヂストン アンカー サイクリングチームの選手として、そして現在は監督として、欧州自転車レースの現場に身を置き続けてきた水谷監督。彼はこのツール・ド・とちぎを、レースとしてだけではなく、その全体のあり方を高く評価し、そして大きな感謝を述べました。その主旨を記します。

All Photos: Hideaki Takagi


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このツール・ド・とちぎは、何よりも「ラインレース」、スタートとゴールが異なるレースであったことが際立ちました。



日本で行われるレースのほとんど、と言うより、ツール・ド・北海道での1ステージを除いたあらゆる主要レースはスタートとゴールが同じ周回レースです。

運営という意味では、一箇所で全てが完結する周回レースが断然に楽でしょう。しかし、ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアといった伝統的なレースも、町から町へと移動するラインレース。そのラインレースが、全日程に渡り日本の公道で行われたという事実に、まず感動を感じています。



レース運営側の方々にも、多大なる労苦があったことでしょう。運営にかかわられた方々へ、その働きに対する感謝を、そしてねぎらいの言葉を送りたいと思います。



次に、日本ならではの景観、すなわち自然と街並みを存分に利用したレースだったことです。栃木という自然と文化を存分に体感できました。



例えば日光周辺の景観であったり、雪が残る日本ならでは山の形。特に晴れた最終ステージには、美しく目に映りました。日本特有の樹木が覆う峠、稲田の農道、そういった日本独特の雰囲気のある道を繰り返し走ったことにも、感慨を覚えました。栃木でしか見られない景色、日本でしか走れない道。地元の方には当たり前かもしれませんが、そうでない選手たちは、また違った感覚で捉えるものです。



さらにはこのコースレイアウトが、ロードレースというスポーツの楽しさと厳しさをすべて表現していました。山岳地域、そして平坦とバリエーションに富んだ地形。コース自体も、細い生活道路から広い幹線道路を組み合わせたことで、戦略的にも複雑になり、レースをより面白くしました。



日本に限らずUCIアジアツアーレースの多くは一般に、単に「自転車が走れればいい」、広く単調な道のコース設定であるように感じます。ですがツール・ド・とちぎでは、このコースレイアウトだけでも、地域にロードレースが受け入れられていることを感じました。



地域の方々の大勢にも、コース脇間近で観戦いただきました。登りで鈴なりになっている観客の間を走るのは、選手にとってそれだけで、とても大きな力と高揚感が沸くものです。あたかもヨーロッパで走っているような感覚でした。



そしてUCI公認、アジアツアー2.2 カテゴリーだったこと。UCIポイントは、世界を目指しロードレースを走る選手としては、必ず手に入れたいもの。それが獲得できる日本では数少ないレースであったのは、海外チームも多く来日し、レベルの高いレースが行われるということでもあります。



そのUCI基準として恥ずかしくない全体のレース運営、特に安全面に最大限に配慮していたのもありがたかったです。最後コースミスは起こってしまいましたが、これは運営の問題だけでなく、選手たちの予習不足もあったでしょう。



加えて、それをネットでの実況中継という形で、レース全ての模様を誰もが見られるようにしたこと。これが最高だったと聞きました。自転車の走行音、選手の息遣いすら聞こえるライブ感。中継を行っていたのは、携帯電話の電波と一般的なビデオカメラだったそうですね。ネットやスマホと言った技術が、自転車レースの見方を大きく変える。この時代の流れに、頼もしい未来を感じました。



ただ、やはりロードレースの醍醐味というのは、現場に来て、その速度をその目で見て、感じてもらうこと。もし今年、ライブ放送でご覧になっていたみなさんには、来年は、ぜひ現場に来て、このツール・ド・とちぎという『本物のロードレース』を体感して欲しいです。


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ここで、今回の3日間、3ステージで走った、栃木の市町を振り返ります。

1日目:日光市、鹿沼市、栃木市、佐野市、足利市

2日目:茂木町、那須烏山市、那珂川町、大田原市、那須町、那須塩原市

3日目:矢板市、塩谷町、さくら市、那須烏山市、高根沢町、芳賀町、一貝町、宇都宮市



このツール・ド・とちぎは、また来年も開催されます。上記市町に加え、今年走り切れなかった栃木の市町を、来年はめぐります。

その人生の大半を欧州ロードレースシーンで過ごしてきた水谷監督が、手放しで褒めるこのレース。来年の開催時には、ぜひここ栃木で、みなさまにも『本物のロードレース』を体感いただきたいと思います。


 
17/04/02

【ツール・ド・とちぎ2017】最終ステージ:人の心を熱くする走りで

レース名 : ツール・ド・とちぎ 第3(最終)ステージ
カテゴリー : UCI アジアツアー 2.2
開催地 : 矢板市〜宇都宮市
開催日 : 2017年4月2日(日)
距離 : 99.6km
平均時速:42.8km/h

All photos: Hideaki Takagi



ツール・ド・とちぎ、最終ステージ。ブリヂストン アンカー サイクリングチーム、今日の最高成績は、鈴木龍の5位。順位で言えば昨日と変わりませんが、その内容は、全く異なっていました。

チーム選手を始めスタッフが自ら認めることは決してありませんが、BGTチームならではのスタイルである『人の心を熱くする』走り、その言葉をそのまま体現できたのです。



(ダミアン・モニエ)


3日間を締めくくる最終ステージ、パレード走行の後のリアルスタートが切られたその直後の上りでダミアン・モニエが飛び出します。

ジロ・デ・イタリアでのステージ優勝もしたことがあるダミアンの登りスピードに数名の選手が付いてきますが、ダミアンがさらにスピードを上げると千切れていきます。そこに実は上りも得意な西薗良太が合流し、序盤の揺さぶりを担います。



(鈴木龍)


序盤のスピードアップに集団もやっと反応し、捉えるも、そこに鈴木龍がさらに飛び出します。その飛び出した鈴木にキナンサイクリングチームの2選手が反応、3名で走っていると、そこに西薗が再び上がり、BGTとKIN、2名づつの構成となりレースを引っ張ります。



(先頭:鈴木龍、後方:西薗良太)


その4名はじきに集団に吸収されましたが、そこに次は初山翔がアタックを仕掛けます。その初山が吸収されると、こんどは再び鈴木が前に出る。その鈴木に初山が加わり、35km地点まで先頭を2名で引きます。



(前:鈴木龍、後:初山翔)


このツール・ド・とちぎでは、3ステージ全てにおいて、インターネットでのライブ中継も行われておりました。その解説者たちは、BGTチームの度重なる積極的な攻撃に対し、最初のうちは冷静な分析を行っていましたが、徐々に「今日のブリヂストン アンカーにはやる気が見える」といった内容のコメントを混じえ始めます。

そしてコースの半分、50kmほどの地点で、今日のBGTの、いえ今日のレースそのものを象徴する逃げが決まります。


石橋学です。



アタッキ・チーム・グストが集団をまとめ上げコントロールしようとし、他のチームもそれに迎合するさなか、突如石橋は、ふとしたスキにひとりで前にでて、集団との距離を一気に開きます。速度を上げながら、いくたびも後方を見ますが、誰も石橋に付いてこようとはしません。

「他のチームは誰も同調してくれず、ひとりで行くべきかどうか迷いましたが、行くしかないなと思いました」



そして石橋は行きます。単独で、独特のハンドルポジションを取り(空気抵抗が軽減されますが、相当に上半身の筋力が必要なポジションだそうです)、そのままペースを挙げました。ひとりで走る石橋と、集団との距離も開き続けます。

改めて。
ロードバイクで集団ではなく1人で走り続けると、とてつもなく消耗します。集団走行であれば、風を避け、スリップストリームに入り、先頭交代をしながら体力を温存できるものですが、単独走行ではすべてをひとりで受けるのです。

解説の今中大介氏によると、「ひとりで走る力が100であれば、集団の中にいる選手は50程度の力で同じ速度で走れる」そう。



その単独走を、石橋は続けます。集団がその気になれば、石橋はすぐに吸収されるだろう。見ている人は誰もがそう思ったのでしょうが、残り25km、残り15km、石橋は独走します。集団との差は、最大で1分50秒開きます。追走する集団は、縦一列にならんでいます。これは相当なスピードであることを意味します。

このあたりから、解説者のコメントに、こんな言葉が混じり始めます。

このまま行くんじゃないか。くじけない心、強靭な筋力、素晴らしい逃げ。UCIカテゴリー2.2のレースで。行って欲しい。石橋選手、最後まで行ってくれ。



残すところ8km、石橋の後ろに、ついに集団が見え始めました。「普通ならここで諦めるでしょう、でも石橋は、まだ諦めずに踏み続けています」。解説者は言います。しかしながら残り5km、石橋は集団に吸収されました。予想されていたことではあったのですが、それは、45kmの独走の後にやっと、「残念ながら」現実となりました。

石橋のまさに一人舞台を終えた後、レースは休息に終盤へ向かいます。石橋の想いを受け取ったBGTチームは、ピュアスプリンターである大久保陣に勝負を託し、彼を西薗、鈴木の順で引き加速させ、そして優勝ゴールへと飛び込ませる、そんな完璧なシナリオを描いていました。



(先頭:大久保陣)


ところがゴール前200m付近で、一部選手がミスコース。先導車両の誘導用矢印を読み違えたとのことですが、スプリント体制直前にて、集団は大きく崩れます。

大久保はそのコースミスに流されてしまい、スプリント集団から完全にアウト。混沌としたゴールスプリントの中、鈴木がなんとか着を狙って仕掛けますが、崩れた計算式を取り戻すことは叶わず、5位という結果に終わりました。



砂を噛むような気持ちを抱いた昨日のステージと同じ、5位です。しかし繰り返しますが、その内容は、全く違っておりました。

「選手たちは全力で、自分たちがなすべきことをしましたが、今日こそ『歯車が噛み合わなかった』という感じですね。いわゆる『熱い走り』はできたかもしれませんが、やはり成績につながらない限りNGなので、そこは残念でした。選手たちも残念に思っています。ただ、現状のコンディションでは最高の走りでした」(水谷監督)


ブリヂストン アンカー サイクリングチームの選手たちは、今日の結果には全く満足していません。監督の言う通り、レースでは結果こそが全てだからです。

しかしその結果を超える何かを、今日のBGTチームは、明らかに示すことができました。それは解説者の言葉として表されただけではなく、今日このレースを見ていた方々の心にも、言葉にならない想いとして伝わっているはずです。

これが、ブリヂストン アンカー サイクリングチームの走りです。


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私たち、ブリヂストン アンカー サイクリングチームは、常に勝利を目指して走ります。それが結果として残せなかったとしても、あなたの心を熱くする走りでありたいと願っています。なぜなら、それこそが私たちのスタイルであり、存在意義でもあるからです。


そして、終わってみれば素晴らしいレース運営だったという感想ばかりが聞かれた、ツール・ド・とちぎ。その栄えある第1回目の最終ステージで、記録こそ残せませんでしたが、記憶に残るような走りができたことを、チームは誇りに思います。


次こそ、記憶だけでなく、記録も残します。
私たちにはその自信があり、実績があります。

昨年の全日本選手権での私たちの走りと結果、これを思い出してみてください。


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【リザルト】
ツール・ド・とちぎ 第3(最終)ステージ
2017/4/3 3rd Stage Yaita - Utsunomiya

1 エゴイツ・フェルナンデス・アヤルサグエナ (チーム右京) 2:19:34
2 畑中勇介 (チーム右京) +0:00
3 ベンジャミン・ヒル (アタッキ・チーム・グスト) +0:00
5 鈴木龍 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +0:00
31 西薗良太 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +0:00
46 ダミアン・モニエ (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +0:24
47 初山翔 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +0:28
54 大久保陣 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +1:28
59 石橋学 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +1:51


【総合成績 GC 最終ステージ後】

1 ベンジャミン・ヒル (アタッキ・チーム・グスト) 6:59:02
2 ジャイ・クロフォード (キナンサイクリングチーム) +0:14
3 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) +0:19
9 鈴木龍 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +1:28
12 西薗良太 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +1:28
45 初山翔 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +4:46
47 大久保陣 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +4:49
50 石橋学 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +5:12
58 ダミアン・モニエ (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +6:08


【チーム総合成績】
1 キナンサイクリングチーム 21:01:15
5 ブリヂストン アンカー サイクリングチーム +1:30


 
17/04/01

【ツール・ド・とちぎ】02ステージ:砂を噛むような一日

レース名 : ツール・ド・とちぎ 第2ステージ
カテゴリー : UCI アジアツアー 2.2
開催地 : 茂木町〜那須町
開催日 : 2017年4月1日(土)
距離 : 99.3m
平均時速:41.4km/h

All photos: Hideaki Takagi


(左:ダミアン・モニエ、右:水谷監督)


どうにも歯車が噛み合わない日、というのがあるものです。ツール・ド・とちぎ、第2ステージの今日は、まさにそれを体現してしまった一日でした。

今日のBGTことブリヂストン アンカー サイクリングチームは、それぞれのチーム員が、今目の前にある状況を好転させ、成績につなげようと全力を尽くしました。

しかし結果から言えば、選手ひとりひとりの尽力は、チームの結果へと、つなげられませんでした。努力が空回りした、本当に砂を噛むような一日となりました。



(左:初山翔)


スタートとゴールが異なる『ラインレース』であるツール・ド・とちぎ。今日の100kmほどのコースは、標高の高いゴールへと向かっての登り基調。しかし全体のペースは、むしろ高く、レーススタート後たった20分ほどで、調子の悪い選手たちが振り落とされていくほどとなりました。

最初の登り区間で、初山翔が早々にアタックを仕掛けます。しかし事前のコース見込みと実際の状況とが異なっており、本当に勝負がかかった本格的な登りは、その直後だったのです。本勝負の直前で初山の逃げは捉えられ、そこから集団は登りでの戦いを始めました。



(鈴木龍)


初山が見損じた登りを、鈴木龍は集団前方で冷静に対処します。ですが登りきった鈴木はそこで、スローパンク(ゆっくりと空気が抜けていくパンク)していたことに気が付きます。

ダミアン・モニエが後輪を鈴木に差し出し、遅れてきた初山がダミアンと共に鈴木を前方のメイン集団まで引き戻しますが、そのときにはすでに、先頭12名の逃げグループが形成されていました。

この12名の逃げには、各チームのエース級選手とそのサポートが入っています。典型的な勝ち逃げグループです。もちろんBGTもこの動きには対応しましたが、先の鈴木のパンクへの対応のため、入れたのは石橋学と大久保陣の2人。



(右:西薗良太)


しかし彼ら2人、本来の役割は、総合優勝を狙う鈴木と西薗良太のアシストです。総合優勝を狙って走る逃げグループは、全力でスピードを上げたがります。石橋と大久保はその速度を落とすべく立ち回り、後方の鈴木、西薗を待ち続けますが、後方集団はなかなか上がりません。先頭グループのスピードはますます上がります。



(先頭:ダミアン・モニエ)


集団までやっと戻った鈴木でしたが、現状は、逃げグループまでは2分以上の差。そこにトップ選手を載せるチームは、集団牽引には当然協力しません。総合を狙う西薗はもちろん、昨今はチーム全体の牽引力を担っているダミアンが尽力し集団を上げていこうとしますが、叶いません。

鈴木はここで、今日はゲームオーバーであることを認識します。



(石橋学)


そんな状況を感じ取った石橋と大久保は、ステージ勝利に向けた動きに切り替えます。劇的に上がったペース、勝負を狙うスプリンター大久保の脚を残すべく石橋も動きますが、つらつらと続いていく登り区間に、大久保の脚は少しずつ削られていきます。

最後の500mは、下りから上りにかけてのスプリント。大久保を守り続けた石橋は、最後の上り返しに向けて大久保を引き、3番手ほどのいい位置に大久保を送り込みます。

そしてここからスプリントが開始、しかし上りきったところまでのスプリントを目していた大久保は、その後に実は残っていた50m弱の平坦区間で脚を使い切り失速、残念ながら結果5位となりました。



(右後方:大久保陣)


今日のブリヂストン アンカー サイクリングチームは、個々の力は強く的確で、それぞれに目の前にあるものに対処できました。それを最終的に、大久保の優勝に繋げられていれば、それは「素晴らしいレース展開」となっていたのでしょう。

しかし、「タラレバ」は、レースでの言葉ではありません。結果こそがその日の評価。必死に回した歯車が、空回りしてしまったような一日でした。

しかし、そんな日もあります。反対に、何をやってもすべてがうまくいく日もあります。今年のブリヂストン アンカー サイクリングチームは、そんな時の波に乗るのが上手いのです。それにいい男揃いのBGTにはきっと、勝利の女神はひいきしてくれるでしょう。

なんて思いつつ、次の最終ステージを待つのです。

【リザルト】
ツール・ド・とちぎ 第2ステージ
2017/4/1 2st Stage Motegi - Nasu

1 マラル=エルデネ・バトムンフ(トレンガヌ・サイクリング・チーム) 2:23:43
2 ベンジャミン・ヒル (アタッキ・チーム・グスト) +0:00
3 ジャイ・クロフォード (キナンサイクリングチーム) +0:00
5 大久保陣 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +0:00
11 石橋学 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +0:11
18 鈴木龍 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +1:05
36 西薗良太 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +1:05
55 初山翔 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +2:23
61 ダミアン・モニエ (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +2:23

総合成績 GC 第2ステージ後
1 ベンジャミン・ヒル (アタッキ・チーム・グスト) 4:39:32
2 ジャイ・クロフォード (キナンサイクリングチーム) +0:12
3 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) +0:18
7 鈴木龍 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +1:24
11 西薗良太 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +1:24
17 大久保陣 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +3:17
21 石橋学 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +3:20
45 初山翔 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +4:14
63 ダミアン・モニエ (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) +5:40

チーム総合成績
1 キナンサイクリングチーム 14:02:33
5 ブリヂストン アンカー サイクリングチーム +1:06