フレーム素材には各チューブとラグにハイモジュラスカーボンを使用し、特性に応じて積層の割合を変更している。
今回の最注目ポイントであるチューブには、ほぼ全てにわたり最適形状理論に基づいた設計がなされ、ほとんどのチューブの断面形状は多角形をしている。そして剛性をコントロールするために部位ごとにカーボンの積層設計を変更。カーボンのメリットを最大限に生かしている。この技術により数十種類の剛性パターンから、アンカーの推奨する7パターンの剛性選択が可能になった。
フレーム製法は従来のモノコック成型からラグ接着へ変更。このためフレームの寸法調整、剛性調整が可能になった。独自の形状をもつラグもカーボン製で軽量。日本人に会わせた150〜185センチまでの身長に対応する。
フォークのブレードはストレートになった。快適性を重視するならベンドモデルが有効だが、RMZのターゲットは「レース」。選手が重視する剛性と軽さに最も重きを置いたこのモデルには、やはり高剛性を得るためのストレートブレードを採用。また、サイズに応じたオフセットも用意してある。
ヨーロッパ、アメリカなどのワールドブランドと伍していくフレームがここに誕生した。
[フロントフォーク]上がオーバーサイズ(1-1/8)、下がスーパーオーバーサイズ(1-1/4)のテーパーヘッドでさらなる剛性の向上を図った。新設計のフロントフォークとの相乗効果で、安定感のあるしっかりしたフロント周りを実現。
インテグラルシートポストを採用。リッチー製のシートポストは15ミリほどの調整範囲を持たせ、微調整を行うことが可能だ。
ヘッドラグはRHM9 RSからの流れを引き継ぎ、アンカーカーボンバイクのアイデンティティともいえる「ドラゴンクローヘッド」を踏襲し高い剛性を実現。またBBラグもベアリング部分のギリギリまで大きな断面を持たせることで、高出力の脚力を逃がさない作りになっている。他のラグにおいても複雑な専用形状を持たせ基本的な剛性を高めている。
アンカーは頂点を目指すレーサー、限界に挑むレーサー、そんな彼らが勝つためのマシン作りを続けてきた。形状の自由度や軽さ、強度といった面からレーシングバイクの最高峰の素材は現在カーボンであり、それは全盛期を迎えている。
しかしカーボンフレームの欠点として、寸法を自由に選べないということが言われてきた。一部のメーカーがほんの一握りの選手のために特別に作ることはあったが、昔のスチールフレームのように専用にあつらえるということは稀だ。
カーボンという素材の性質上金型が必要なため、仕方がないというのは近年の常識になりつつあった。ある意味自転車の要というべき部分に目をつぶらなくてはならないほど、カーボンは優れている。しかしそこには、ポジションを妥協しなければならないというジレンマがあった。
従来のやりかたではレーサー個別に対応することが難しくなってきたのだ。今はフレームジオメトリーが先でライディングポジションが後という状況。それは正しいのか? 基本的な疑問からバイク開発の根本に立ち返ることになった。先に最も重要な事はライディングポジション。その後でポジションに合わせたフレームジオメトリーを。それがRMZの出発点だ。
ジオメトリーの問題以上に我々を惑わせたのは、データを取れば取るほど出てくる答え。一人一人選ぶフレーム剛性が違うということ。一定水準の速さが求められる選手クラスでも違うのだから、一般のライダーはなおさらだろう。各々良いというフレーム剛性が違うのなら、理想とするフレームもまた各々違うと言うことだ。
レース用という狭い範囲の中にも選択肢が沢山ある。例えば○○選手が好むフレームと、□□選手が好むフレームは違うということ。そのどちらも優秀なフレームであっても、従来の形式では最後にはどれか一つに絞らなくてはいけないジレンマがあった。
ならば個別に対応できないだろうか?ジオメトリーのマッチングだけでなく、ライダーの好みや理想にマッチングする開発は出来ないだろうか? その結果、我々は「ジオメトリーのみならず、剛性パターンも個別に合わせる」という大胆かつ、困難なパーソナルマッチングをコンセプトに掲げた。
パーソナルマッチングを実現するために必要不可欠なフィッティングマシンとソフト。このシステムを開発する上で大きな力となったのが、アンカーラボでの10年間に及ぶデータの蓄積だ。
アンカーバイクの開発はつねに選手のインプレッションから始まる。歴代のチームブリヂストン・アンカーの選手たちの膨大な量のデータ、そしてアンカーの財産である10年間の蓄積が最適なジオメトリーと剛性バランスの提案に生かされている。
シビアなオーダーを追求するなら、アンカーラボにあるフィッティングマシンで測定するのが理想。しかし希望する全員にそれは無理な話である。そこでショップでも実現可能な機能だけを付与したフィッティングマシンと、Webサイト上でデータの受け渡しを行うフィッティングソフトを開発した。このシステムが導入されるアンカーフィッティングショップはいわば「出張アンカーラボ」となる。
トレーニングにも使えるほどしっかりとつくられたこのマシンは機能として、ハンドル・サドル位置の測定機能、ハンドル幅可変機能、クランク長可変機能、負荷可変機能、有酸素パワー測定機能を備える。
そしてWebサイト上の専用ソフトは、アンケート調査、採寸データ、そしてフィッティングマシンで得たデータを入力することで、個人に合わせたフレームジオメトリー、剛性を提案し注文確定まで行うことが可能だ。
このマシンの長所は体力の測定も出来るところ。出力と心拍を測る能力を持っている。間違えやすいが、分かるのは「有酸素能力」。剛性を選択できるのでライダーの最大パワーを測定できると勘違いしてしまうかも知れないが、あくまで有酸素的なパワー(出力)と最大酸素摂取量(VO2 max)であることを留意してもらいたい。ライダーにマッチした乗車ポジションの計測、フレームジオメトリー、剛性を提案するためのフィッティング装置なのだ。
では、なぜ有酸素能力を測るのか? ロードレースではライダーのタイプによって剛性感の要望もさまざま。しかもレースは長丁場で2、3時間はあたりまえ。とするとレース行程の中で有酸素運動域がほとんどを占めることになり、そこでの能力を知ることは必須となる。
このフィッティングマシンとフィッティングソフトがあって初めてフレームジオメトリーと剛性をオーダーすることができる。

今や主流のカーボンフレームも黎明期のものはあくまでクロモリの延長線上、置き換えただけだった。太さとか形状は既成概念にとらわれたままだったということ。今思えば、当時のバイクはカーボンの自由さ、性能を生かしきれていなかった。
RMZも一朝一夕に出来た訳ではない。スチール、アルミ、カーボンとレーシングバイクを作り続けてきた長年の積み重ねがあればこそだ。
ネオコットで培われた応力解析技術を駆使した結果、RMZに採用されるチューブは部位ごとに最適な断面を持ち、剛性をコントロールするために部位ごとに積層設計を変えてある。これはカーボンのメリットを最大限に発揮できる設計だ。もちろん素材にはハイモデュラスカーボンを採用し、剛性を確保するととともに軽量化も図った。
- 1. アンケート調査・採寸
- 剛性の好みや、走りのタイプ、身体寸法などの基本情報をヒヤリング。
- 2. 推奨ポジションの算出
- Webサイト上でフィッティングソフトを使用し推奨ポジションを算出。
- 3. ポジションの微調整
- 実際に乗車し、関節角度測定、ペダリングをしポジション調整。
- 4. フレーム剛性提案のための体力測定
- 3段階の負荷を掛け脈拍を測定し、有酸素パワーを調べる。
- 5. フレームジオメトリーと剛性を提案
- アンケート調査(好みの剛性)、身体寸法(身長・体重・股下)、有酸素パワー(能力)のデータから数万パターンの組み合わせの中でアンカーが推奨する、いくつかのジオメトリーと剛性パターンを提示される。
このフレームをオーダーするにはフィッティングマシンとフィッティングソフトが必須で、2010年1月から「アンカーフィッティングショップ」でオーダー可能となる。
「アンカーフィッティングシステム」の注文は全てWebサイトにて行う。ショップとアンカーとの確認作業もウェブ上になるが、パソコンモニターからはライダーの気持ちや背景までは見通すことは出来ない。そこで現実に対応する経験豊富なショップスタッフの力を借りることとなる。ショップ・ユーザー・メーカーの三位一体のコンビネーションがより精度の高いフィッティングを可能にする。
RMZは数千種類のフレームジオメトリーと数十種類の剛性を掛け合わせるとその組み合わせは数万種類にも及ぶ。剛性については個々の目的、脚力、脚質に応じてハンガー横剛性、捩り剛性を考慮し、各々のチューブのこれらに対する寄与率からカーボンの積層設計を行った。これをチームブリヂストン・アンカー契約選手のインプレッションにて確認、修正を加え最終的に7種類が選ばれた。
フレーム製法はラグ接着にすることで、自在にカーボンを使いこなすことが可能になり、さらにカーボンラグなので軽量。モノコック製法では一本一本の剛性を調整することは不可能に近かったが、ラグ接着にすることでフレーム部位ごとの調整が可能になった。
剛性の違うチューブの組み合わせにより何通りもの剛性パターンを生み出すとともに、5mm単位でのサイズ指定※も可能にし、フレームジオメトリーと剛性をオーダーできるカーボンフレームRMZが誕生した。
(※トップチューブ長)
「ターゲットは頂点を目指すレーサー、限界に挑むレーサーに対応することだったので、剛性が高くカチッとした走りが特徴です。ひょっとしたらアンカーらしくないと受け取るライダーもいるかもしれません。しかし乗りやすさと引き替えに、グイグイ進む戦闘的でロスのない走りを手に入れた感じ。ダンシング、シッティングでもサクサク進む、ライダーの脚力をダイレクトに走りにつなげる、それがRMZです。
一定の剛性を確保した上で、ライダーの走りの質に合わせた特性に仕上げています。RMZは昔からのオーダーの考えとか、自分のフレームを基準にという考え方とは一線を画すると思いますよ。」