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17/05/14

【2017トラック全日本選・初日】勝つことが唯一の証明。近谷、連覇のための原点回帰

レース名:第86回全日本選手権トラック・レース、2017日本パラサイクリング選手権・トラック大会
開催日:2017年5月13日(土)
開催地:宮城県自転車競技場
ブリヂストン アンカー サイクリングチーム 参加選手:一丸尚伍、近谷涼

Photos: Hiroyuki.NAKAGAWA (HN)、Junya.YAMAUCHI (JY)



(近谷涼)HN


2017年5月13日、トラック競技全日本選手権、4km個人パーシュート(4kmIP)競技。

その決勝の出走直前に近谷涼は、「必ず獲ります」と言いました。

昨年、この種目の全日本チャンピオンになっている近谷。この出走前の強い決意は、王座を守りたいという心から発せられたものではありませんでした。むしろチャレンジャーとして、そして自分への証明として、この競技で勝たなくてはならなかったのです。


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(近谷涼)JY


今年2月のアジア選、ワールドカップを終えた以降の近谷は、選手としての自分を信じきれなかったといいます。練習中に膝を故障し、自転車から遠ざかる日々が続きました。好きで乗ってきた自転車から、気持ちが離れてしまった。自転車を「降りる」しかないかもしれない。そんな体と心の不調が、近谷を覆っていました。

そこから自分を解き放つには、このレースに、全日本選手権に勝つしかない。近谷の決意は、強く、固く、そして事実近谷は、その通りの走りで、全日本選手権優勝という自分への証明を、雨の降りしきる屋外コースで、果たしました。

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(近谷涼)JY


2017年のトラック全日本選手権は、5月13〜14日の2日間で行われます。トラック競技には10種近くの種目があり、そのうち、下記の種目が今回の選手権で開催されました。

ケイリン、個人パーシュート、チームスプリント、タイムトライアル、
スクラッチ、ポイントレース、チームパーシュート、マディソン

13日に行われた種目では、BGTチームからは近谷と一丸尚伍が4km個人パーシュートに出場しました。



(一丸尚伍) JY


4kmパーシュートとは、4kmの総距離を2名の選手が同時に走り、その先着を競うものです。予選もありますが、これは決勝である1,2位決定戦と3,4位決定戦、そこに進む4名のみの選手を選ぶための戦い。予選というよりも1次本戦といった様相です。

会場となった宮城県自転車競技場は、屋外のトラックコース。しかもこの日は朝から重めの雨。雨が強い時間の出走となった一丸は、この予選を4分44秒台の4位決勝出場。自分の予想タイムから離れていたようで「路面が重くて、体も重くて」とコメントしていましたが、それでも決勝の3,4位決定戦に勝利し、表彰台を獲得しています。


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(一丸尚伍)HN


そして近谷です。予選タイム4分41秒台と2位以下を大きく引き離すタイムで予選を1位通過、すなわち決勝で2位以上が確定。雨の中ではありましたが「脚は回っていました。練習も確かに積めてきていましたし、練習でのタイムはもっとよく出ていました」

それだけ力の差があることを予選で実証しても、近谷は不安でした。



(近谷涼)JY


「春の練習中に膝を痛めてしまって、そこで全日本に向けた気持ちが切れたというか、あんなに好きだった自転車に乗ることからすら気持ちが遠ざかり、ちょっともう自分でも「ダメかな」と思った時期もありました。

ただ、この全日本の直前に、自分のルーツに立ち返りました。ボクは高校生のころ、福島までよく自転車の合宿をしに行っていたのですが、先のゴールデンウィークにこの福島での合宿に、また参加させてもらったんですね。


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(近谷涼)JY


高校生と一緒に練習して、昔の自分が強く持っていた『自転車に乗って、速くなっていくのが楽しい』そんな気持ちを思い出し、噛み締めながら、原点に返って一から仕上げ直しました。2週間、しっかりと練習を積めました。この合宿がなかったら、この全日本は獲れなかったかもしれません。

個人パーシュートでは、ボク対戦相手を見ることはほとんどないですが、今回の決勝は、相手がどうしても目に入ってきました。雨でコンディションが悪いというのもあり、決勝では思ったよりも脚が重く、実際にタイムも、予選よりも遅いタイムになっていました。


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JY


走っている間は、最後まで不安で、もしかしたら負けちゃうかも、との気持ちが何度も巡りましたが、それをなんとかねじ伏せました。最後の数周は、もう、体ではなく、気持ちだけで、(ペダルを)踏んでいました。

ここにくるまで、本当になんどもダメかな、って思いましたがそういったストレスとか苦しみとかすべてを、このレースにぶつけられたかなとは思いますし、よかったかなと思います」(近谷涼)



HN


【リザルト】トラック全日本選手権 5月13日

*男子エリート 4km 個人パーシュート-決勝

1 近谷 涼(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)4:44.543
2 原田 裕成(鹿屋体育大学)4:45.603
3 一丸 尚伍 (ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) 4:44.658



(左:一丸尚伍、右:近谷涼)JY